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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 56


「…お前ら、丸聞こえだっつーの…」
「へへ…こいつぁ参りやしたねぇ〜。どうも女性陣には信用されてねぇみてぇだ」
「そ…そんな事は…!」
「あの…ごめんなさい、キルケさん…」
慌てて否定し、謝るシスカとメリサリム。
「いや、だって怪しいだろ」
アレイダはブレない。
「…ま、こんな胡散臭ぇオヤジがいきなり美味い話を持って来たとあっちゃあ無理も無ぇや。あっしだって疑いやす。仕方無ぇ、こうなったら全てお話しやしょう。あっしだって何も誰彼構わず声を掛けてる訳じゃありやせん。あなた方をかの有名な聖剣の勇者、バン・バッカーズさんとそのお仲間ご一行とお見受けしてのお誘いでやす。何せあっしの見込んだ“あのお方”と唯一互角に渡り合ったお人だ。こんな所で巡り会ったのも何かのご縁と思いやしてねぇ…」
「!…おいオッサン、あんたの見込んだヤツって、まさか…?」
「へい、元剣闘士奴隷…旋風のエルティア様でさぁ!」
「マジかよ!?オッサン、エルティアの知り合いなのか!?」
ライバルであるエルティアの知り合いと聞いてバンは目の色を変える。
「オイ!オッサン!お前エルティアの居場所を知ってるか?知ってるなら今すぐ白状しな!!俺はあの野郎と決着を付ける為にワザワザ大陸くんだりまでやって来たんだ!!」
「いえ・・・聖剣を探す為ですよ勇者様・・・」
バンの言葉にメリサリムは素早く訂正を加える。
キルケは答えた。
「それが、あっしも分からねぇんでさぁ…クラタナ事変からこっち、とんと行方知れずで…もしかするとあの人の故郷であるラカンに戻っているかも知れねぇと思い、来てみたんですが…けっきょく手掛かり無しでさぁ」
「何だ…お前も知らねえのかよ…。てゆうか、クラタナ事変って何なんだ?」
「え?皆さんまだご存知ないんで…?」
「知らん」
「私も知りません」
「私もだ。…クラタナというのは、私達がこの西大陸に上陸した港町の事か?」
バンもメリサリムもシスカも首を横に振る。
アレイダは思い出したように言った。
「そういや前にちょっと酒場で小耳に挟んだよ。…クラタナの街は長い事ザキムって悪徳商人が王都から派遣されて来た役人共と結託して牛耳ってたんだが、ついこの間、大規模な民衆蜂起があってザキムと役人共は打ち倒されて民衆による新政権が出来たって話だろう?」
「そうでさぁ!その民衆蜂起の中心となってザキムを討ち取ったのがエルティアの旦那だったんです!」
「な…何だとおぉぉ〜!!?」
バンはキルケに掴みかかった。
「いででででで!な…何すんですか!?」
「エルティアの野郎!この俺を差し置いてそんなオイシイ真似してやがったなんて…!まるっきり正義の味方じゃねえか!さぞかし女にモテたろうなチクショ〜!」
バンは地団駄踏んで悔しがった。
「はぁ…はぁ…な…何なんですか、あの人…?」
「すいません、ああいう人なんです…」
息も絶え絶えなキルケにメリサリムが申し訳無さそうに頭を下げた。
「いえいえ、バッカーズさんの破天荒さはエルティアの旦那から聞いてますので想定内ですよ」
「そ…そうですか…」
「あっ主様…」
エルティアからバンの破天荒ぶりを聞いているキルケは想定内だと笑う。
しかし、メリサリムとシスカは主バンの醜態に恥ずかしくて何も言えなかった。
「ちきしょ!エルティアに負けてられっか!おいキルケのおっさん、俺を今すぐに法王庁まで案内しろ!」
「良いですぜ、バッカーズさん!」
ライバルのエルティアに先を越され悔しがるバンはキルケに法王庁へ案内しろと命令する。
どうやら、バンの中の闘争心に火が付いたようである。
そんなバンの傲岸不遜な態度にキルケは嫌な顔をせず素直に応じる。

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