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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 46


「はあぁぁーっ!!!!」

 ズバアァァッ

「グギャアァァ〜ッ!!!?」
シスカは大斧を振りかざして自分に襲い掛かって来るオーク鬼を一刀両断に斬り裂いた。
「ふぅ…これで15匹目」
一息つきながら剣を鞘に収める。彼女の周りにはオーク達の死体が転がっていた。
「シスカさぁ〜ん!」
自分の名を呼ぶ声の方を振り返ると、4人の冒険者と思しき男女が笑顔で手を振りながら近付いて来る。
実はシスカ、バンとメリサリムと別れた一昨日、カランの街の郊外でワーウルフの群れに襲われて苦戦していたパーティを助け、以降2日間ずっと行動を共にしていたのだ。
…で、今日はギルドの仕事で、カラン近郊に出没して旅人や商人を襲うオークの群れを退治しにやって来たという訳である。
「いやぁ、凄いなぁ〜!一人でオークを15匹も倒しちゃうなんて…僕らなんて4人で協力して6匹しか倒せなかったのに…!」
4人のリーダー格である剣士の青年が感心した様子で言った。
「さすが剣術のメッカ、パラム王国の出身ね。普通はこうはいかないわよ」
際どいビキニ鎧に身を包み、三叉槍を肩に担いだセクシーな女戦士が言う。
褒められたシスカは照れ隠しにわざと素っ気ない口調で言う。
「…なに、日々の鍛錬の成果に過ぎん。あなた達だって努力次第では私以上になれる」
「いや、努力ももちろんだがシスカの場合は生まれ持った素質も兼ね備えている。そういうヤツはなかなか居ない」
大きな戦鎚(ウォーハンマー)を肩に担いだ大柄な男が言った。
「シスカさん!もう本当に私達の仲間になってくださいよ!」
「へ…っ!?」
背中に弓矢を背負ったアーチャー(弓使い)の少女が目を輝かせて懇願して来た。シスカは思わず声が裏返る。
「そうだな!シスカさんみたいな強い剣士が加わってくれれば僕らとしてもこんな頼もしい事は無いよ!」
賛同するリーダー。
「私もリーダーに賛成だわ」
「俺もだ」
「もちろん私も〜♪」
「い…いや、待ってくれ!みんなの気持ちは嬉しいが、私には使命があるのだ」
「使命?」
「うむ、伝説の三聖剣を探し出して集めねばならぬのだ」
「「「……」」」
それを聞いて黙る一同。
「誘ってくれた事、とても嬉しく思う。だが、そういう訳なので…」
ところが…
「な…何ですかそれ!?三聖剣って…!?」
「やだ♪なんか良く分かんないけどカッコイイ〜!」
「そういう事情があるなら俺達で良ければ協力するぞ」
「そうね。私達どうせ旅の目的とか無いし…」
今度はシスカが逆に驚く。
「えぇ!?い…良いのか、みんな!?」
リーダーは言った。
「もちろんだよ!じゃあ仲間になってくれるね!?」
「ああ!これからよろしく頼む」
シスカとしてもこんなに嬉しい事は無い。喜び勇んで返事した。だが、その瞬間、胸の深い奥底で何かが引っかかった事に彼女自身も気付かなかった。

その夜、宿屋にて…。
(よし、書けた。明日ギルドに頼んで本国へ発送してもらうとするか…)
シスカはパラム王国宛ての手紙を書いていた。
国王宛ての途中経過報告と実家宛ての手紙である。
実は昨日、ギルドで“聖剣の一本がゼノン帝国にあるらしい”という情報を得たのだ。ゼノン帝国は500年の歴史を持ち大陸中央の広大な領域を支配する西大陸最大の国家である。
(ふふ…私がバン・バッカーズに先駆けて聖剣を発見したとなれば父上も母上も大層お喜びくださるに違いない。今度こそ我がスワロウ家のバッカーズ家に対する優位性を確立させられるのだからな。…しかし、してみるとやはりあの馬鹿と別れて正解だったな)
しかし一方でまた、こうも思うのだった。
(良い仲間を得て、任務は順調…申し分ない状態だ。なのに一体何なのだ…この胸の中にあるモヤモヤは…?」
「…忘れられないんじゃない?バン・バッカーズの事が…」
いつの間にか部屋の中に入って来ていたアイラが言った。
「私があの馬鹿の事を?まさか…有り得ん。私はあの男と別れた事に後悔など1ミリもしていない。いや、後悔ならしているな。あの男を一時でも我が生涯の主として誓いを立てた事だ。どうかしていたのだ…私は……あれ?」
そこまで言った所でシスカは顔を上げてアイラを見た。
「うわあぁぁ〜〜〜っ!!!?な…なな…何者だ貴様!?いつから部屋に居た!?なぜ私の心の中が解った!?」
「私の名前は訳あって言えないわ。部屋の中にはさっきから居たわよ。あなた心の言葉は途中から声になって出てたの」
「そうだったのか…いや、それより貴様!この私がバッカーズの事を忘れられないだと!?」
「事実でしょう?また戻りたいんじゃない?バン・バッカーズの元に…」
「フッ…馬鹿を言え!私はもう新たな仲間を得たのだ!あんな男、向こうから頭を下げて来ても願い下げだ!」
「ふふふ…」
「な…何がおかしい…?」
「バンは後悔してたみたいよ。あんたとメリサリムって巫女と別れた事…」
「そ…それは本当か!?」
身を乗り出すシスカ。

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