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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 31


宝石店での密談を終えたロザリーは、王都内に建つバッカーズ侯爵邸に戻って来た。こぢんまりとしているが、白壁造りの美しい屋敷だ。ロザリーは今はバッカーズ侯爵夫人として、この屋敷の一切を取り仕切っていた。彼女は世間的には、新婚間も無い夫が任務で旅立ってしまうという不運にもめげずに健気に夫の留守を守る貞淑な妻…という風に見られていた。
夫が長期に渡って家を空けていると、たいてい良からぬ噂が持ち上がるものだが、彼女に限ってはその類いの醜聞も全く無かった。持ち上がりようが無かった。彼女は必要最低限度以上の異性との接触を持たなかったのである。それは彼女の男嫌いゆえなのだが、事情を知らぬ者の目には、夫バンに操を立てる貞淑な新妻と写った。

「ふふふ…これでアイツも一巻の終わりだわ…あはははは…あーっはっはっはっはっは…!!!!」
自室で一人になったロザリーはベッドの上に倒れ込んで勝ち誇ったように笑った。
「いい気味よ!この私の純潔を奪った罪を己の命をもって贖うが良いわ!バン・バッカーズ!!こ…この私を…」
ロザリーは興奮した様子でドレスのスカートを捲り上げると、両脚の間に右手を滑り込ませた。
「はぁ…はぁ…あぁん…こ…この私をぉ…あぁ…あん…あぁ〜」
ロザリーはバンの顔を思い浮かべながら自慰に耽りだしてしまった。実はこの三ヶ月半の間、性交渉こそ無かったものの、ロザリーはずっとバンに犯される妄想をしながらオ○ニーをしていたのだった。…その形はどうあれ、彼女にとってバンは性的な対象に他ならなかったのである。


一方、自分がそんな愛憎の果てに妻から命を狙われる羽目になってしまったとも知らないバンは…
「いただきまぁ〜す!」
…食堂に来ていた。シスカとの決闘を終えたらちょうど昼時になったので、まずは腹ごしらえと思い、メリサリムとシスカを伴ってやって来たのであった。
「もぐもぐ…むしゃむしゃ…うん!美味ぇ〜!!」
「…して我が主(あるじ)よ、これから一体いかがいたしましょうか?」
シスカが食べながらバンに尋ねる。メリサリムも言った。
「そうですよ、勇者様。私達には残り二本の聖剣を探すという重大な使命が…」
「わぁってるって!うるせえなぁ、お前らは…。食ってる時にまでそんなクソ真面目な話するなよ。せっかくの飯が不味くなっちまうぜ」
「はあ、そのように申されましても…」
「二本の聖剣とその使い手である二人の勇者…これらに関する手掛かりは今のところ何一つ無い状態なんですよ?」
「…んな事言ってもなぁ〜。聞き込みでもしながら地道に地道に探してくしかねえだろ……ん?待てよ…」
バンはふと“ある事”を思い付いた。
「なぁ…俺、もしかすると聖剣の勇者の一人に心当たりあるかも…」
「そ…それは真ですか!?」
「誰なんです!?」
「ああ、たぶんお前らも知ってると思うぞ。この俺がかつて剣術大会でただ一度だけ勝てなかった相手…無敗の剣闘士“旋風のエルティア”だ」
「エルティア!そうか…彼か…」
「その戦いなら私も存じております。勇者様と戦って最後まで決着のつかなかった、あの人ですね…」
だが、エルティアが聖剣の勇者の一人であるというのはあくまでバンの言い出した仮説…確証がある訳ではない。
メリサリムは尋ねた。
「しかし、勇者様?何故そのお方が聖剣を持っておられると思うのですか?」
メリサリムの疑問にバンは当然の様に応える。
「勘だ!!」
「か・・・勘ですか?」
自らの仕える勇者のその言葉にメリサリムとシスカは思わずズッコケそうに成る。
「フ・・・この俺が倒し切れなかった相手が、ただ者であるハズが無い!!故にエルティアこそ聖剣を持っているに違いない!!」
バンの言葉にシスカとメリサリムは、顔を見合わせ溜息を吐く。
(もっとも、バンのこの根拠の無い勘は、偶然にも大当たりだった。この男は一歩間違えれば、タダのバカだが、やはり只者では無いのかもしれない・・・)
「と!言う訳でエルティアに合いに闘技場の在るラカンの町に向かう!!付いて来い!!」

主君の根拠の無い言葉に溜息を吐いた二人だったが、とはいえ聖剣の在処が分からない以上。何所に向かおうとも同じ事。早くも席を立ったバンを追って、二人もまた席を立った。



「ターゲット発見・・・これより任務を遂行する・・・」
彼らのその姿を物陰から一対の瞳が見つめていた。

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