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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 4

「オヤジさん楽ちんで、大金が稼げて、依頼人が美人な仕事の依頼は来てるかい?」
「そんな都合のいい依頼なんぞある訳無いじゃろ!!例え来ていてもお主なんぞに斡旋せんわい!!」
バンの世間を舐めているとしか思えない言葉に、冒険者ギルドの加盟店の酒場の店主である老人は、半ば呆れかる。
「フン!そうかい!!全く世間の奴等ってのは、見る目が無いぜ・・・この超天才剣士であるバン・バッカーズ様の価値が理解できないとは・・・」
「あのなバンよ・・・お前さんの剣の腕が天才的なのは、わしも認めよう。わしも30年以上この店で多くの剣士たちを見て来たが、お主ほどの腕の剣士は終ぞ見た事は無い・・・じゃがどれほど切れ味優れた剣でも、鞘から抜くことが出来なければ意味は無い・・・同じようにお主もまず謙虚に己を見つめ、自らの欠点を克服しなければお主の剣の腕も宝の持ち腐れじゃぞ」
年を経た老人の心からの忠告も、バンの耳には文字通り馬事東風だった。
「うるせえな〜その手のお説教は、クソオヤジに散々聞かされて、耳にタコが出来てるよ。それより今俺に必要なのは、金なの!お金!!家から分捕って来た金も、そろそろ底を尽き掛けているんだから」
その言葉に老人は再びため息を吐く。
「はあ〜お主はつくづくダモクレスの聖剣じゃな・・・」
「ハア?何だそれ?」
「何じゃ知らんのか?この国では有名な伝説じゃぞ」
「生憎とガキの頃から修行修行の毎日で、その手の話は殆ど聞かされた事が無いんでな」
その言葉通り、バッカーズ流剣術の師範であるバンの父クラーズは、幼い頃からバンを徹底的に鍛え上げたため、バンは友達と遊んだり、バード(吟遊詩人)の歌声に耳を傾けるという事が殆ど無かった。
その事がバンの父であるクラーズへの不満と反発を生み、結果としてバンを非行へと走らせたのかも知れない。
「てっ訳だから聞かせてくれ」
「何でわしがそんな事をせにゃならんのじゃ・・・」
そう文句を言いつつもなんだかんだ言って人の良い老人は、聖剣の事を話し始める。
「ダモクレスの聖剣は、この町にあるダモクレス神殿に納められた聖剣じゃ。正確に言うと聖剣を保存するために神殿が建てられたのじゃがな・・・その聖剣は戦の女神ミネルヴァの依頼で、鍛冶の神ラビリュスが造った剣で、その魔力は如何なる物をも切り裂く力が与えられておると伝説では語られておる。じゃが女神ミネルヴァは、その危険性故。剣に相応しい者にしか、剣を鞘から抜く事が出来ないという呪いを掛けたのじゃ。そのせいで聖剣が女神ミネルヴァより与えられてより数千年。幾人もの剣士が剣を鞘から抜こうと試みるも、一人も抜く事は出来なかったのじゃ・・・それでこの国では、能力が有っても使い道が無い物や人間をダモクレスの聖剣と呼ぶように成ったのじゃ」
老人が語り終えるとバンは興味津々で老人に尋ねる。
「ふ〜ん面白い話だな・・・その剣ホントに神殿に有るのかい?」
「うむ!この町の中心にあるダモクレス神殿に安置されとるよ。望めば剣を抜く試練を受けさせてくれるよ。この町では祭りの日にこの試練に挑むのが、習わしでの。かく言うわしも何度か剣を抜こうとしたものじゃ」
そこまで言って老人はハッと正気に戻った。
「いかん!いかん!つい長話をしてしもうた・・・バンよお主もとっとと心を入れ替えて、真面目に仕事を探すのじゃな。それまでお主の仕事は無い。分かったの!!」
「へいへい」
バンは老人の言葉に不真面目に応えると店を後にする。
「ふぁ〜ダモクレスの聖剣か・・・面白そうな話だな・・・まあどうせ暇だしちょっくら見物に行ってみるか・・・」
バンはそう言うと町の中心部に在るダモクレス神殿に向かった。


「へ〜意外と大きい神殿じゃねえか・・・」
バンが宿を取っている下町から30分程歩いていくと、戦神ミネルヴァを祭った巨大な神殿が見えてくる。
「ここがダモクレス神殿か〜」
戦女神ミネルヴァを祭る此処ダモクレス神殿は、パラム王国のミネルヴァ教団の中核である大神殿で、パラム王国の外からも巡礼者が訪れる。因みにバンも剣士の端くれとして、一応戦女神ミネルヴァを信仰している。
年に数回寄進を行うだけのささやかな信仰であるが。

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