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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 3

「貴様は勘当だ」
クラーズが言った。バンは黙って父を見ているだけだ。
ヘーデンが慌てて口を開く。
「待ってよ、父さん。いくらなんでも勘当はないよ。第一、兄さんはバッカーズ流剣術の跡継ぎじゃないか!!」
「ふざけるな!!こんな馬鹿息子にバッカーズ家の家督を継がせろというのか!!家督ならお前が継げばいい」
ヘーデンは愕然とした。父は本気で兄を見捨てようとしている。
だが、
「……………」
バンは一言も言葉を発しないまま道場を出ていこうとした。ヘーデンが慌てて引き留める。
「待って兄さん。父さんだって本気じゃないんだ。兄さん、何とか言ってよ」
だが、バンは振り向こうともしない。
ヘーデンは最後の手段にうってでた。
「兄さん!!」
ヘーデンは側に置いてあった二本の剣を持ち、そのうち一本をバンに投げ渡した。
「兄さんが勝てば好きにして構わない。道場を出ていってもいい。だけど、僕が勝てば道場に残ってくれ。お願いだ」
ヘーデンが鞘から剣を抜き構える。だがバンは鞘から剣を抜こうともしない。
「どうした、兄さん。兄さんともあろうものが、僕に恐れをなしているのか?」
ヘーデンの声が震えている。兄の強さを知っているからだ。
「かかって来ないのなら、こっちから……」
刹那、バンが動いた。神速の速さで一瞬のうちにヘーデンの間合いに入る。ヘーデンが気付いたときには、もう遅かった。

カキンッ!!

ヘーデンの剣が宙を舞い、バンの剣がヘーデンの喉元の手前で止まっていた。剣は鞘から抜いていなかった。
「じゃあな、ヘーデン」
それだけ言い残すと、バンは剣を投げ返し、道場を去っていった。

――――

これが1週間前の話である。
あの時は剣の腕があれば大丈夫・・・などと高をくくっていたのだが。
いくら何でも剣が強ければ生きていけるほど世の中が甘いはずもなかった。
路銀はあっという間に底をつき、目下のところ自分にケンカを売ってくるバカやチンピラからの謝罪金がバンの生命線である。
酒場や宿屋とかでバイトでもすればいいような気もするが、半ば性格破綻しているこの男にそんなことを考える頭はない。
最近では名前が売れすぎて、日々の生活にも困る有様だった。

「あーくそ・・・。1人で生きていくってのがこんなにも難しいモンだったとは・・・。
 仕方ねえ、今日もあそこに仕事を探しに行くとするか」

バンはそう言うと、今日の日銭を稼ぎにある場所へと向かう。
向かう先は冒険者ギルド。こちらで言う職業斡旋所であった。

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