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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 29

(ここで負けたらお前は去勢されておかまになるんだぞバン!!しっかりしろ!!)
シスカの動きが読めずバンは弱気に成らない様に心の中で自分を奮い立たせる。
(しかし、シスカ如きがこの俺に押してるなんて…ありえねえ)
心の中で自分を奮い立たせたお陰で戦意喪失は免れたが、シスカに勝てる策が思い浮かべずバンは悩んでしまう。
心の迷いは当然太刀筋に現れる。
「フ!どうしたバン!バッカーズ!!貴様の剣はその程度か!!」
だが、挑発を繰り返しながらも、シスカは決して攻め入ろうとはしない。
(こ・・・このアマ!もう許さねえぞ!!絶対に叩きのめして、身も心も俺に隷属する様に成るまで犯しまくってやる!!)
自分の剣を侮辱された事で、バンの心は怒りに染まる。
何故なら生まれながらに・・・いや生まれる前から剣士として生きる事を定められ生まれて来たバンにとって、剣の腕は自らの誇りその物で有り。例えどれ程忌嫌おうとも、手放す事の出来ない自分の一部だったのだから。
その剣技を侮辱された事で、バンの剣が少しだけ変わる。
(フフフ・・・バンめ・・・挑発に乗って来たな・・・太刀筋が雑に成って来ているぞ!!)
シスカはその事に勝機を見出す。

だが、シスカはスグに自分の考えが間違っていた事に気が付いた。
(なっ!何だこの剣は・・・一撃一撃が段々重く鋭く成って来ている・・・)

バンはそれまでの恐れはどこへやら、強気の攻勢に転じ、次から次へとシスカに刃の雨を浴びせた。
「うらうらうらうらあぁぁー!!!」
「お…おのれえぇ!!!」
だが、シスカも伊達にスワロウ流剣術の師範代免許皆伝などと名乗っている訳ではない。
バンの急変に戸惑いながらも、その全てを受け止め防いだのである。
(くそぉ!!一体どうしたというのだ!?まさか!?剣を侮辱された事への怒りが恐れを上回ったというのか!?いや!怒り任せに振るう剣など、必ず死角があるはず!死角が…死角が…)
「うらうらうらうらうらあああぁぁーーーーーっ!!!!」
「…死角が無あぁぁい!!!」
攻撃は最強の防御…己の内の恐れの感情を克服した(というか怒りで忘れた)バンには、もう恐れる物など何も無かった。皮肉なるかな…彼にとって最も恐れるべき物は“恐れ”そのものだったのである。
こうなるともう純粋な実力勝負だ。いや、今度はシスカが恐れに捕らわれる番だった。焦りと言った方が正しいかも知れない。
(な…何か!何か新たな策を!!新たな策をぉぉ!!!)
真剣でも木剣でも剣士は勝負の際には、相手をどう倒すか予想を立てる。相手がどう出るか判らないからだ。勝負が始まってから考え始める。ゆえに剣士には素早い的確な判断力が求められる。
バンは再びシスカの目を見た。
彼女の目には力が無くなっていた。
視線にも落ち着きが無い。
先程わざとに視線を外した時とは明らかに違う。
いける!
バンは確信した。
そして…

キイィィィンッ!

鋭い金属音が辺りに木霊し、シスカの剣は空中を舞って地面に突き刺さった。
彼女の喉元にはバンの剣が突き付けられている。
「……ま…参った……」
シスカは絞り出すような声でつぶやくように言った。
「勝負あり!」
審判役のメリサリムが右手を上げて戦いの終わりを告げる。
「ふぅ…」
バンはホッとしたように溜め息を吐いて剣を鞘に収めた。

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