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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 27

「勇者様、これは…?何か薬品のようですが…」
「い…いやぁ…これはさ…そのぉ…あ!酔い止めだよ!酔い止め!昨日シスカに飲ませた…!」
「ああ、酔い止めですかぁ。へぇ〜、ピンク色にハートマークの付いた小瓶だなんて、何だか可愛らしいですね」
バンは慌ててごまかした。幸いにも世間知らずなメリサリムはそれで納得したようだった。だが…
「ほぉ…そんな“媚薬みたいな瓶”に入った酔い止めがあるのか…」
「げぇ…っ!!シスカ…」
何という運命のイタズラか…ちょうど食堂に入って来たシスカに一部始終を見られてしまっていたのだった。
「バン・バッカーズ!!!!貴様あぁ!!!謀りおったなあぁぁ!!?」
「うぐぐぐぐ…お…落ち着け、シスカぁ…」
シスカはバンを掴み上げて締め上げた。
「黙れ!この外道!!貴様の様な男今すぐ我が手で殺してやる!!」
シスカは怒りの余り、バンの首の骨を圧し折る心算で、手に力を込める。
「お!お止め下さいシスカ様!!お怒りは良く分かりますが、どうぞ手をお放しに成って下さい!!」
例え自業自得と言っても、流石に仕えるべき勇者を仲間に殺させる訳にはいかない。
メリサリムは必死にシスカを宥める。
「黙りなさい!メリサリム!!私は騎士として・・・いえ!!一人の女としてこの卑劣な男を絶対に許せません!!」
その間にも、首を絞められているバンの顔色は、青く成っていく。
「わ・・・分かりました・・・では、戦女神ミネルヴァに仕える者として、提案がございます・・・例え卑怯で邪悪な人間でも、それを倒すのに同じ事を行っては、成りません!!飽くまでバン様を殺したいと言うのなら、正々堂々たる一騎打ちにて、行いなさい!!」
この提案にシスカの指の力が抜け、バンは無様に床に倒れる。

「・・・良かろう!本当は六年前にこの男に敗れて以来。私もずっとこの男と再戦したいと思っていたのだ!!今日こそこの男を我が剣で切り伏せてくれる!!メリサリム!!貴公もそれなら異存無いな!!」
「はい勿論です・・・私は戦女神ミネルヴァに仕える者・・・そしてミネルヴァの祝福は、常に勝者に与えられます・・・戦いの結果こそが、戦女神ミネルヴァの審判なのです!!例えその結果バン様がお亡くなりに成ったとしても、それが正々堂々たる戦いによる物ならば、私は決して貴女をお恨み致しません・・・」
「良かろう其処で伸びている下種に伝えろ!!今日の正午ピッタリに、この町のミネルヴァ神殿に来いと!!何れが真の正義か戦女神に問おうではないか!!」
「承知致しました」
こうしてバンが床で伸びている間に、二人の女によって、戦女神ミネルヴァの名の下に決闘を行う事が、承認された。

戦女神ミネルヴァを信奉しているのは、何もパラム島に限った事ではない。
数多くの神々が存在するこの世界では、一つの都市に複数の神殿があるという事も珍しくないのだ。
特にミネルヴァの神殿は大抵どこの町にでもある。
この世界では常に戦争が絶えず、いかなる国も都市も戦いと無縁ではいられないからだ。
太陽神アロンや大地母神ガイアなど、農業に関わる神々の神殿も同様である。
港湾都市であるここクラタナに関して言えば、海洋神セポイや商業神ジウの神殿もある。
ちなみにミネルヴァ神殿の総本山はパラム島の物であり、毎年行われる剣術大会は女神への奉納の儀でもあるのである。

さて、話は戻ってクラタナの町のミネルヴァ神殿…。
正午を少し過ぎた頃、約束通りバンはメリサリムを伴って姿を現した。
「遅刻だぞ…バン・バッカーズ。よもや恐れをなして尻尾を巻いて逃げたのではないかと思ったぞ」
神殿の入り口前の階段の上に仁王立ちになったシスカがバンを見下ろしながら言った。
「いや〜正直決闘なんて面倒なんで、俺もそうしようかなって思ったんだけどよ。メリサリムが「行かないと本気で怒りますよ!!」って怖い顔で言うもんでな・・・それにお前の体は、抱き心地が良いからな!お望み通り決闘で打ち負かして、お前を俺専用の抱き枕にする事にしたのさ」
バンはこれから決闘を行うにも関わらず。何時もの様な飄々とした不真面目な態度を崩さない。
「こ!この下種が!!」
バンの言葉と態度にシスカの怒りは頂点に達し、彼女の白い肌が怒りと羞恥で真っ赤に染まる。

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