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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 15

(いったい何がどうなってるんだ・・・)
国王の爆弾発言にバンが呆然としている間に、話はトントン拍子に進んで行き、気が付けばバンは、パラム王国第二王女であるロザリー・ファン・パラムシア王女の婚約者にされてしまっていた。
普通の男なら、絶世の美少女の上、次女とはいえ国王の娘の婚約者に成るなど、余りの幸運に歓喜する所だろうが、幼い頃に初恋の想いを、当の婚約者の女性本人に無残に踏みにじられたバンにとって、この婚約は不本意の極みとも言える物だった。

(しかし一つだけ疑問が残る…)
バンは思った。それは謁見の時、国王が口にしていた事だ。
ロザリーはバンを婚約者だと言い、父王が持って来る縁談を全て断っていたという…。
(まさか…あの女、本当は俺の事を…?)
バンの中に一つの考えが芽生える。ロザリーはバンが告白した時、ただ素直になれなくて、あのような言動を取ったのではないか…。
(いやいや待て待て…惑わされるなバン・バッカーズ…6年前のあの屈辱を忘れた訳じゃあるまい…あのクソ姫に限ってそんな事あるかよ……でも…)
バンはロザリーに会いたくなった。会って本当の気持ちを確かめたいと思ったのだ。
(よし!そうと決まれば善は急げだ)
バンは直接ロザリーの所に確かめに行く事にした。

バンがメリサリムと共に当てがわれている居室は、広大なパラム王宮の中でも、手前側の入り口に近い部分…国王が政務を行ったり要人に謁見したり式典を催したりする区画で、臣下達も頻繁に出入りする所にある。
それに対してロザリーの寝室はもっと奥の王族の居住区…限られた者しか入れない特別な区画にある。衛兵が常に見張り、出入りする者は常に厳重にチェックされている。
(内側から行くのは無理…となると外から見当を付け忍び込むしか無いか…)
ロザリーとの顔合わせはまだしていない。国王は結婚まで二人を引き合わせるつもりは無いようだ。仮にも王家の娘が例え婚約者相手とはいえ、婚礼前に男と関係していたとなれば王家の沽券に関わるとでも考えているのだろう。

「勇者様、さっきから黙って何を考えておられるのですか?」
「…ん?ああ、ちょっとな…」
心配そうに尋ねるメリサリム。そんな彼女を見ていてバンはある事に気付いた。
「そう言えばメリサリム。お前、この王宮には何度も来た事があるんだよな?」
「はい、勇者様。それが何か?」
「じゃあ王宮の構造とかも把握してる訳だ」
「はい、一応は…」
「ロザリー王女の寝室の場所って分かるか?」
「な……!?」
あまりにド直球なバンの質問にメリサリムは一瞬言葉を失った。
「ゆ…勇者様!あなたというお方は…!一体何を考えておられるのですかぁ!?」
「心配しなくても別にお前が考えてるような事は企んじゃいねえよ。ただ、俺の花嫁になる女の気持ちを結婚する前に確かめておきたいだけさ」
「…本当ですか?」
「もちろん!俺の目を見ろ」
「濁ってます」
「マジ?」
だがメリサリムは「はぁ…」と溜め息を吐くと言った。
「どうせ私がお止めしても実行なさるんでしょう?」
そしてバンにロザリーの部屋の場所を教えたのだった。

「もうこうなったら、毒喰らわば皿までだ。メリサリムありがとな」
「いえ、どういたしまして」
ロザリーの部屋を教えて貰ったバンはメリサリムに礼を言う。
しかし、メリサリムは事務的な返答をするだけであった。


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