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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 13

王宮へと案内されたバンは、城の一室に通された。
「やれやれ相変わらず派手な城だな・・・」
「あら?勇者様は以前にもお城に来た事が在るのですか?」
メリサリムの質問に、バンはイヤな事を思い出したとでも言う様に、少しだけ顔を顰める。
「ああ・・まあな・・・お前はどうなんだ?」
「はい・・・わたくしも神殿の務めで何度か・・・それに十歳の時から神殿で修行しておりましたので、実感は無いのですが、わたくしも一応この国の貴族の娘ですから」
「そう言えばそうだったな…。俺はバッカーズ流の師範代に指名されて王様にお目見えした時以来だ。まだ12歳のガキだったがな…」
それはバンが剣術大会で優勝した後の事だった。

そんな事を話しているとノックの音がして王宮の侍従がやって来た。
「お待たせいたしました。バン・バッカーズ様、メリサリム様。国王陛下がお会いになられます」

二人は玉座の間へと通された。
「国王陛下の御出座ぁ〜!」
玉座の傍らに控えた侍従が厳かに告げると、奥の間から国王が現れ、優雅な動作で玉座に腰掛けた。
バンとメリサリムは片膝を着いて頭を垂れている。
「面を上げよ」
その言葉に二人は顔を上げた。
「陛下におかれましては、ご尊顔を排し奉り、恐悦至極…」
「あぁ、良い良い。堅苦しい前口上は無しじゃ…」
国王は最近白髪が混じるようになって来た顎髭を撫でながら親しげな口調でバンに語りかけた。
「久しいのう、バン・バッカーズよ。メリサリムも変わり無さそうで何よりじゃ。バンよ、そなたに会うたはバッカーズ流師範代免許皆伝後の御目見得以来であろうかのう…」
「はあ、その師範代免許も先の一件で剥奪されてしまいました…」
「はっはっは…左様であったな。聞いたぞ。余の御前試合をすっぽかして女と交合(まぐわ)っておったそうではないか」
「お恥ずかしい話です」
「いやいや、若い内には良くある過ちじゃ。余も太子であった頃にはしばしば女絡みで痛い目に遭ったもんだ…」
「…あ!王様もですか?」
「コホン…」
女の話でついつい砕けた口調になりかけた時、メリサリムがせき払いを一つした。
バンと国王は慌てて己を取り戻す。
「あー…それでな、バンよ。本日来てもらったのは他でもない。そなたに話がある…」
国王は改めてバンに言った。
「実はの・・・お主わしの娘であるロザリーの事覚えておるか?」
「は・・・はい・・・まあ・・・」
(嫌な事思い出したぜ・・・)
ロザリー王女。本名ロザリー・ファン・パラムシアという名の王女は、目の前のにいるパラム王国国王の次女で、バンの初恋の女性だった。
12歳の時に国王隣席の剣術大会で優勝したバンは、その祝勝パーティーの席で彼女に出会った。
彼女は生前パラム王国の至宝と呼ばれた王妃の血をそのまま受け継いだかの様な、銀髪の妖精の如き美しい美少女で、まだ非行に走る前の剣一筋に生きて来た純真なバン少年は、彼女の姿を見るなり一目で恋に落ちたのだった。
初恋の熱に浮かれたバンは、まだ身分という物を良く理解して居なかった事も在り、その日の内に彼女にプロポーズした。

しかし、ロザリーの返事は「アハハハ!!!悪いけど私この国の王女だから、剣術屋の女房に成る気は無いの!!寝言は寝てから言いなさい!!」という散々な物だった。
初恋の幻想を打ち砕かれた事を切っ掛けに、バンは剣への情熱を失い、非行に走り、女と見れば見境無く手を出すロクデナシへと成長したのだった。
(あのクソ王女め・・・あの時の屈辱は死ぬまで忘れん!!)
まあある意味現在のバンが有るのは、彼女のお蔭と言えない事も、無いかもしれない。

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