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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 12

国王の名を出され、さすがのバンも怯む。
「お…王様が俺に何の用があるってんだよ…?」
「それは来れば判る事…。申し遅れた。私は王国軍公認剣術指南役シスカ・スワロウと申す」
「スワロウ!?まさか、あんた…!?」
女騎士の姓を聞いて驚くバンに彼女は詰め寄りながら言った。
「そうだ…バン・バッカーズ!あの国王陛下御観覧の試合の日、貴様と戦うはずだったスワロウ流の大将がこの私だ!バッカーズ流の大将たる貴様が不参だったがために不戦勝を得、王国軍の剣術指南役のお役目をいただいた!スワロウ家嫡子にしてスワロウ流剣術師範代シスカ・スワロウだ!会いたかったぞぉぉ!!バン・バッカーズ!!」
「お…俺は別に会いたくはなかったんだが…」
何故か自分を敵視しているかのような女騎士の気迫に、バンは少しだけビビッて後ずさる。
(俺この女と会うの初めてだよな?)
「どうなさいますか勇者様?この者たちを打ち据えますか?」
メリサリムは女騎士の無礼な態度に少しだけ怒りを覚えたようだ。
(我が勇者様の行く道を妨げこの様に無礼な態度をとるなど、戦女神ミネルヴァへの冒涜ですわ!!)
「いや・・・俺もさすがに王国を敵に回したくないしな・・・まあ折角だからご招待に与ろう」
「・・・承知しましたわ勇者様・・・」
「フン!!命拾いしたな・・・」
シスカはそう言うと忌々しそうに剣を下ろす。出来る事なら今この場でバンを切り捨てたいと思っているのが良く分かる。
(?・・・これ程の美人を俺が忘れる訳無いんだが・・・ハテ?何でこんなに敵視されてるんだろう?)
シスカ・スワロウの態度は、試合をすっぽかした事だけとは、思えない程バンへの憎しみに満ちていた。



(バンめ・・・相変わらず腹立たしい男だ!!)
実はバンは全く覚えていなかったが、彼女とバンは以前に一度だけ会っていた。もっともバンが思い出せないのは、仕方の無い事かもしれない。何故ならシスカ・スワロウが以前にバンと会った時、彼女は男として会っているのだから。
それはもう十年近く以前の事だった。
シスカ・スワロウは剣の名門であるスワロウ一門の当主の娘として生まれた。
彼女の父親は彼女以外にも三人の子に恵まれたが、残念な事にその全員が娘であった。
その為、シスカの父親は、四人目の子供もまた女であった時、遂にある決断をする。
彼女を一門の当主とする為、彼女を娘では無く息子として育てたのだった。
以来彼女は15歳の時、母の死後再婚した父と後妻との間に弟が生まれるまで、ズット男として育てられたのだった。

そんな彼女が13歳の時、有る大会で僅か12歳の少年が優勝し、それがスワロウ一門の宿敵であるバッカーズ流剣術の当主の息子と聞いて興味を覚えた。
当時のシスカは、生来の才能と努力によって、男女の身体能力の差を克服し、時に当主である父にさえ勝利する程に成っていた。
当然自分と同年代の剣士に負けるなど想像すらした事も無かった。
ところが、有る時機会を得てバンと試合を行った所、彼女は今までの人生で初めてと言って良い程の大敗を喫した。
その日以来シスカ・スワロウは、打倒バン・バッカーズを目標に剣技を磨き、遂に雪辱を果たさんという決意と共に迎えたのが、あの国王陛下御観覧の試合だったのだ。
所がその大切な大会をバンは、すっぽかした。
挙句、その理由が女との性交を行っていたせいだと知った時。シスカ・スワロウの怒りは、頂点に達した。
実は彼女自身も気が付いていなかったが、バンに試合で負けたあの日から、シスカは長年バンに恋をしていたのだ。
バンにとっては迷惑な事だが、彼女の中でバンは剣士としても、女としても、ある意味理想化というか偶像化されていた。
そしてそれ故にこそシスカ・スワロウは、現実のバンに失望し、無自覚な彼への恋と憧れの感情は、あの国王御観覧の試合を切っ掛けに、そのまま憎しみへと変化してしまったのだ。
もちろん、シスカ・スワロウ本人は、そんな事には全く気が付いていない。
もっともだからこそ厄介なのだが。
(バン・バッカーズめ!!きっとこの男が聖剣を抜いたなど何かの間違いに決まっている。あのメリサリムという女も、バンに騙されているのだ!!何せ無類の女好きとの事だからな!!もしかしたら弱みを握られた挙句無理やり凌辱されたのかもしれん!!きっとそうだ!!ええい!!許せん!女の敵め!!何れ我が剣の錆にしてくれるわ!!)

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