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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 111

言われてみれば盗賊団とアザトゥス教団軍は一度も刃を交えず、妙にあっさりと村を明け渡したではないか。
今となっては納得がいく村人達であった…。
このシナリオが司教ファルカーク個人による物なのか、それとも更に上の教団幹部からの指示であるかは不明である。
だが件のファルカークという男、同様の事を他国でも行って信徒を増やしていたらしく、もし教団がそのような手段を常套の物として用いているとするならば、これは許し難いという以前に各国にとって大きな脅威である…。

「…そんな訳で今あの村は事実上どこの勢力にも属していない中立状態だ。村人達は皆、茫然自失…まぁ、彼らの立場を考えれば無理も無いがな…」
…と、ここまで話してシャルロッテは一息ついた。バンは吐き捨てるように呟く。
「…人々に自分達を信じさせるためなら何でもやるのか…アザトゥス教団…えげつねぇヤツラだ…」
だが彼はある事を思い出して叫んだ。
「…そうだ!マティウスだ!あのマティウスって剣士はどうした!?」
バンの叫びにシスカは安静する様に諭す。
「主殿、今は少し安静にして下さい。御体に障りますよ」
「うっ!!イテテッ!!」
急に叫び出して頭痛が起きてバンは頭を抑える。
「ちっ仕方ねえ!後で聞くからな」
そう言うとバンは再び床に就いた。


アザトゥス教団が支配する村を脱出したバンたちパーティーは、シャルロッテの案内で彼女の故国であるカルパシア王国に辿り着いた。
カルパシア王国の国王は、最初聖剣の勇者を名乗るバンを疑いの目で見ていたが、シャルロッテからの報告と、何より彼が持つ剣の形状と魔力の高さが、伝え聞く聖剣の物と完全に一致した為、バンたちパーティーのカルパシア王国における行動の自由と、滞在中の全費用を賄う事を約束した。



半年後

「オヤジ!酒だ!酒を持ってこい!!」
「お客さん・・・幾らなんでも飲み過ぎですよ・・・ここ数日毎日昼間っから店に来ちゃ、閉店まで飲み続けてるじゃないですか・・・」
「うるへえ!金ならいくらでもくりぇてやりゅ!しゃっしゃちょ酒を持ってきょい!!」
酒場の店主は泥酔した男の呂律の回らない言葉に溜息を吐きながらも、それが仕事だと自らに言い聞かせて、男の指定するカクテルを造り始めた。

バンッ!

「・・・また昼間っから飲んだくれてるんですか・・・いい加減しっかりして下さい勇者様!」
「おぉ〜・・・メリサリムじゃねえきゃ!ちょうど良きゃった・・・悪いぎゃ酌をしてくりぇ・・・」
バンは酒で濁った瞳で心配して迎えに来たメリサリムを見る。
「もう・・・シスカさん!アレイダさん!見つかりましたよ!!」
メリサリムは哀しそうな目で首を横に振ると、他の店を探していた仲間たちに声を掛ける。
「あ…主殿!!」
「…ったく、ちょっと目を離すとすぐこれだよ…」
シスカとアレイダが店に入って来た。
「よぉ、みんなぁ〜。ちょうろいいやぁ、いっひょにのもぉぜぇ…」
「主殿おぉ!!」
バキィッ
次の瞬間、シスカがバンを思いっきりブン殴った。
「グハァッ!!?」
殴られたバンは椅子から転がり落ちて床に倒れ込む。
「…ってぇなぁ!!…ぁにしゃぁあんらぁひすかぁ!!?」
シスカはその場に泣き崩れながら叫んだ。
「どうしてですか主殿ぉ!?お酒はもう飲まないって約束したじゃないですかあぁ!!昨日ぉ!」
「ちなみに一昨日もその前もな…」
「毎日してますよ…」
アレイダとメリサリムはいくらか冷静なようで溜め息混じりに言う。
「とりあえず城…じゃなくて家に帰るぞ、バン」
アレイダはバンの肩を抱き上げて、ズルズルと引きずって店を出て行った。
「うあぁ〜!?あんらよぉあれぇらぁ!?はぁせ!はぁせよぉ!!」
バンは抵抗するも力無く、為されるがままであった。

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