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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 107

「黙れ黙れ黙れぇっ!!お前はこの私に恥をかかせる気か!?いかな邪剣の使い手とて邪剣が無ければ只の人!恐れるに足らん!縄を解いて首を跳ねてやれ!!」
「は…はっ!承知いたしました…」
隊長は剣でバンの縄を断ち切った!
その一瞬をバンは見逃さなかった。
「はぁっ!」
「な…何ぃ!?ぐあぁぁ〜っ!!?」
一瞬の隙を突いて隊長に体当たりを喰らわし、彼が取り落とした剣を拾い上げるが早いか、彼を斬って捨てたのだった。
「な…っ!?お…おのれ貴様ぁ!!殺せ!!ヤツを殺せぇーっ!!!」
ファルカークは逆上して唾を飛ばしながら部下達に命じた。
「「「おうっ!!」」」
たちまちアザトゥス教団軍の兵士達がバンを取り囲む。
「へへ…やんのかテメェら?俺の剣の腕前は伝え聞いて知ってんだろ?テメェらザコなんざ剣のサビにしかならねぇぞ?それでも良いってヤツぁ前に出な…さぁ!最初の一人は誰だ!?」
「うぅ…」
「く…くそぉ…」
案の定、誰も手出し出来なかった。皆、最初の一人になりたくはないからだ。
相手は剣術のメッカ、パラム王国最強の剣士のバン・バッカーズ、真っ向から挑む覚悟がある奴など、滅多にいる物はなかった。

「グハッ!!」「ギギャー」「ぎにゃああ!!」
「主殿、助太刀に参りました!」「やるじゃないバン!」
更にバンを取り囲んでいた邪教団軍の兵士たちの一部が数珠繋ぎに縛られていた筈のシスカ、アレイダによって後ろから倒され、二人はバンの隣に合流を果たした。
「おっお前ら!!」
縛られていた仲間が自分の元に駆けつけたので、バンはびっくりする。
「邪教団の連中が、主殿に集中してる隙に」「あたしが、縄を引き千切って皆を助けたんだよ。メリサリムとスパイの女はアイラが逃がしたよ」
「おぉっ〜流石は俺の女たちだぜ!!」
仲間たちが自力で助かったのを知りバンは大喜びする。

「んじゃ、テメエらこのボケ共とっととぶち殺すぞ!ド三流のモブキャラの分際で、この俺様に剣を向けるなど神に唾を吐くも同じ・・・タップリお礼をさせてもらうぜ!」
そう言うとバンは邪悪な笑みを浮かべながら、ファルカークと彼を守るようにその周りを取り囲んでいる兵士たちに剣を突き付けた。
「な!何をやっとるか貴様ら!それでも栄光ある教団の兵か!人数では我々の方が圧倒的なのだぞ!とっとと、こ奴らを切り刻め!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ司教の命令に、兵士たちは嫌々ながらも従順に従う。
だが、バンとその仲間たちの剣椀は凄まじく、瞬く間に数人の兵士が切られ地に伏せる。
「ひっ!ひいいいいいい!!!」
「う!腕が!俺の腕がアアアアア!!!!」
「ハッ武器さえ有ればざっとこんなもんよ!さあ、とっとと俺様の愛剣を差し出して土下座しな!生憎こんな鈍らじゃあ聖剣の勇者にして、不世出の天才剣士。エスパニア世界に生きる全ての美女たちが自ら抱いて欲しいと股を広げる程の超絶美形で、その完璧さに神々さえも嫉妬を覚える偉大なるバン・バッカーズ様には釣り合わねえんだよ!!」
バンはそう叫びながら次々に兵士たちを切り捨てていく、三人の剣の余りの鋭さに浮足立った兵士は恐慌状態に成り、既に兵士の半数は地に臥せっていた。
「ば、バカな!こんなバカな事が有って堪るか!!」
「はっ!この俺様を怒らせたのが運の尽きだ!さあ!後残り十と四人!楽勝だぜ!!」
だが、残念ながらバンの刃がファルカークの体を貫く事は出来なかった。


「・・・・・・・なんだ?この馬鹿騒ぎは?」
その声は呟くような小さなものだったにも関わらず、男の圧倒的な存在感によって、その場に居る全ての者達の耳に届いた。
戦いの最中にも関わらず、その場に居た全ての者達がまるで吸い寄せられるかのようにその声の源に視線を向ける。
(だ、誰だこいつは?)
あの傍若無人なバンでさえ、その男のカリスマ的とさえ思える程の存在感に圧倒され、思わず剣を止めている。
黒い。その男は全てが黒かった。・・髪の色も、靴も、ズボンも鎧も。鋭い眼光も、放つ闘気も、呼吸さえ黒い気がする。
いや、黒色というより、闇。まるで全身に闇の気配を浴びた様な男。
だが、不思議な事に影という形容詞だけは当てはまらない。それはその男の余りにも圧倒的過ぎる存在感故だろうか?
「ま、マティウス様・・・」
恐らくこの男の名前だろう。その場に居た誰かが呆然とそう呟く。
「ファルカーク。総主教様のご命令だ・・・スグに荷物を纏め神殿に帰還せよ・・・」
マティウスはまるでその場で行われている戦いなど眼中に無いとでも言うように、兵士たちに囲まれ半ば呆然としているファルカークに視線を向け命じる。
無視された形に成ったバンは、何時もなら屈辱感で心が一杯に成るハズなのに、まるで麻痺したように心が動かない。

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