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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 106

そこへ屈強な村の若者二人程、従え長老が地下室にやって来た。
「静かにしろ!!この悪魔共が!!」
ほんの少し前まで、バンたちを大司教様と崇拝してたが、
今では不浄な物を見るような冷たい目で見ていた。
「何だと、もういちっ…」
(今は大人しくしろ!!) (そうです。私たち武器を取られてるんですよ!!) (主様、短気は損気です)
バンは言い返そうとするが、アレイダとシスカとメリサリムは今長老たちを刺激させたら、殺されると感じバンの口を抑え事なきを得る。
そして、長老はバンたちの処分を言い渡した。
「貴様らはこの場で始末したいのだが、明日はアザトゥス教団のファルカーク司教様が来られるので、処分はファルカーク司教様にお任せする!以上!」
そう言うと長老は地下室から出て行った。

翌日、村に到着した司教ファルカークの前に、バン、メリサリム、シスカ、アレイダ、アイラ、そしてシャルロッテの六人が両手を後ろ手に縛られ、数珠つなぎにされた状態で引き立てられた。
「…その者達は何者ですか?」
司教ファルカークは穏やかな口調で長老に尋ねた。彼は漆黒をベースとして所々に白い縁取りのあしらわれた僧服に身を包んでおり、声を聞く限り歳は若いようだ。彼の年齢を外見から判断し難くしているのは、口周りから顎にかけて蓄えられた見事な髭であった。
その彼が護衛として引き連れて来たアザトゥス教団軍の兵士達(約40〜50人)は皆、漆黒の鎧兜に身を固めた何とも不気味な軍団だった。顔はフルフェイスの兜で見えない。
(な〜んか胡散(うさん)臭ぇヤロウだなぁ…)
それがファルカークを実際に目にしたバンの印象だった。長老は若い司教の前にひざまづいて上奏する。
「ファルカーク司教様、この者達はカルパシア王国の間者と邪剣の使い手一行にございます。ここは一つ司教様おん自ら厳正なるご処罰を…」
「じゃ…邪剣の使い手だとぉ!?」
その言葉を聞いた瞬間、ファルカークの顔色が変わった。
「なんたることだ!我が神の御再臨の日が近づいているこの時に、再び邪剣の主が世に現れるとは・・・だが、考えてみればこれぞ我らが神のお導き!今この場でこ奴を処刑すれば、我が神が御降臨なされた後の憂いが一つ無くなる!!」
「では?」
「うむ!総主教様や大司教殿にお伺いをたてるまでもない!即刻この男を処刑し、この忌まわしき邪剣を封印せよ!!」
「ハッ!承知いたしました!!」
その命令と同時に、兵士たちの隊長と思われるファルカークと話していた男が、腰から自らの剣を引き抜く。
(畜生ぉ!このままじゃあマジで殺されちまう!考えろ!考えるんだ!バン・バッカーズ!!)
バンは己に言い聞かせ、必死に考えを巡らせた。
「うぅ…み…皆さぁん…ヒック…短い間でしたけど…グスン…私は皆さんと一緒に旅が出来て幸せでしたぁ…」
メリサリムはすすり泣きながら別れの言葉を口にする。
ファルカークは込み上げる笑みを押し殺しながら剣を手にした隊長に命じた。
「よぉし、まずは邪剣の使い手から始末せよ!」
「かしこまりました、司教様!」
隊長はバンに歩み寄り、その脇に立つと剣を振り上げた。その時だった。
「ハァーッハッハッハッハッハァッ!!!!こいつぁお笑いだぜぇ〜!!!」
バンは高々と声を上げて笑い始めたのだった。
「フッ…どうした?死を前にして恐怖で正気を失ったか?」
ファルカークは半ば同情の視線でバンを見つめながら尋ねる。
バンは可笑(おか)しくてたまらないといった様子で笑いながら答えた。
「ひぃ〜ひぃ…いやぁ俺は正気だぜ?だがよぉ、アザトゥス教団も話に聞いてたほど大した連中じゃねぇと思ってなぁ…それでつい可笑(おか)しくて笑っちまったのさ」
「なにぃ…?」
ファルカークの片眉がピクリと動いた。彼に変わって隊長がバンに尋ねる。
「貴様ぁ!それは一体どういう意味だ!?」
「ヘッ!アザトゥス教団は…少なくともファルカーク率いる教団軍は腰抜け揃いだって事が解ったからさ!テメェら後世まで語り草になるぜ!?ファルカークの腰抜け野郎は聖剣の勇者バン・バッカーズ様を恐れる余り、聖剣を取り上げて両手を縛った状態でしか殺す事が出来ませんでした…ってなぁ!」
「ぐぬぬぅ…っ!!」
ファルカークは半ば叫ぶように命じた。
「おい!!バン・バッカーズの縄を解け!!」
隊長は慌てた。
「ファ…ファルカーク様!このような安い挑発、お気になさいますな!」
だが“安い挑発”に乗せられ、頭に血が登ったファルカークは聞く耳を持たない。

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