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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 102


そして…
「はい大司教様、あ〜んしてください」
「あ〜ん…モグモグ…うん!美味い。田舎だが料理は最高だな」
「ありがとうございます」
「さぁ、お酒もどうぞ」
「お、悪いねぇ〜♪」
ここは長老の家。バンは上座にふんぞり返り、左右に美しい村娘を侍らせ、まるで王者のような態度であった。目の前には田舎の村にしては珍しい豪華な料理の数々が並んでいる。おそらく司教ファルカークの一行を歓待するための食材の一部を流用して作ったのだろう。

「勇者様ったらすっかり調子に乗って…良いんでしょうか?こんな事して…」
「まったくだ…もしバレたらタダでは済まんぞ」
不安げに小声で呟くメリサリムとシスカ。それに対してアレイダが骨付き肉を頬張りながら言った。
「まあまあ…今夜一晩くらい良いじゃないか。おかげで私達も豪勢な食事と暖かい布団で眠れる訳だしね。その代わり明日の朝にはバンの首に縄を掛けて引っ張ってでも村を出るよ」
「当然よ」
と言いつつアイラも手にした高級葡萄酒の瓶を空になった自らのグラスに注ぎ入れる。

「いかがでございましょう大司教様…?」
長老を始めとする村の顔役たち5〜6人がヘコヘコしながらバンの前に進み出て来た。長老は揉み手しながらバンの顔色を窺いつつ尋ねる。
「…ご機嫌を直していただけましたでしょうか?」
「まだまだだぁ!酒と料理が足りねぇ!もっと持って来ぉ〜い!」
「か…かしこまりました!おい!酒と料理をもっと追加せよ!」
「は…はいぃ!」
長老に命じられた村人達は大慌てで部屋を出て行く。
(クックック…ほっんと面白ぇなこの状況♪)
村人達の慌てぶりに思わず笑みがこぼれそうになるバン。

「あ〜のぉ〜」
やがて膳を持った一人の女が部屋に入って来た。それを見た長老はギョッとしたように言う。
「な…何じゃ、お前かシャルロッテ!?他に手の空いておる者はおらんかったのか!?」
「あい〜、みんないそがしかったから、あたしがだいしきょーさまにおしょくじもってきたんだよぉ〜」
シャルロッテと呼ばれた女はヘラヘラと笑った。良く見ると口からヨダレが垂れている。バンは長老に尋ねた。
「何だその女?」
「はあ、申し訳ございません大司教様。このシャルロッテは少し頭の足りない女でして…一ヶ月ほど前にフラッと村にやって来てそのまま居着いてしまったのです。どこから何をしに来たのか訊いてみましたが全く要領を得ず…しかし何か悪さをする訳でもなく、ただ意味も無く一日中村の中をフラフラと歩き回っているだけなので害にもなるまいと村に置いてやっておるのです」
「ふ〜ん…」
バンはシャルロッテをまじまじと眺めた。髪は白に近い金髪でフワフワとした巻き毛。眼は眠たげな半開きで瞳は光が無く澱んだ泥沼のような色をしている。しかし顔立ちを良く見るとなかなかの美女である事が判る。身体の方もスタイルが良く凹凸のはっきりしたナイスバディだ。歳は23〜24といった所だろうか。
(もったいねえなぁ…これで頭さえしっかりしてりゃあなぁ…)
さすがのバンも白痴の女を抱く気は無かった。そこまで女に飢えてはいなかった。
そこにメリサリムが進み出て。
「あのう、私がみてみましょうか?」
そう言えばメリサリムは治癒魔法が使えた事をバンは思い出す。
「治癒魔法ってケガや病気を治せるのは知ってるが、頭も治せんのか?」
「それが生まれ付きの物ならば治療は不可能です。ですがもし事故か何かでそういう風になってしまったのであれば治療は可能です」
「なるほど…面白ぇ。やってみろ。長老、良いな?」
「は…はい、もちろんでございます」
「それでは…」
メリサリムはシャルロッテに両手をかざした。メリサリムの手の先からパァ…っと光が溢れ出し、それがシャルロッテの全身を包み込んだ。

「どうだ!?治ったか?」
やがて光が収まるとバンはシャルロッテの顔を覗き込んで尋ねた。
「ひかりぃ、あったかぁ〜い♪」
彼女は少しも変わっていなかった。
「何だ…ダメか…」
「どうやら彼女は生まれながらの天使さんだったようですね」

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