錬金術師カノンと五聖麗 62
「さぁ、ここがあたしの棲家だ。遠慮せず入れ」
「ああ」「お邪魔します」「お邪魔しますですぅ〜」
「おお、適当にその辺に座って構わん」
先に棲家に帰っていたノークが人数分のお茶と茶菓子を持って現れた。
「客人ヨ、茶ダ」
「ああ、どうも」「…頂きます」「頂きますでぅ〜」
「……ゴユックリドウゾ」
ノークがそれぞれにお茶と茶菓子を渡した後、フォルトルージュに元に控えるように座った。
「んでだ、落ち着いた所でここに来た理由を教えてくれないか?」
「わかった。簡潔に言うと、フォルト、君の鳳凰の羽を一枚か二枚で構わないから少し分けてくれないか?」
「ふ〜ん、羽ねぇ……何に使うんだ?」
「ラストエリクサーを創ろうとしている。ラストエリクサーを創る理由は、アセリア、君が話せ」
「分かったわ」
創る理由はカノン自らから言うより、アセリアから話した方がいいと思い、回答をアセリアに委ねた。
「フォルトルージュさん、私から話します」
「おお。それと、あたいの呼び名はフォルトでいい。フォルトルージュっ堅っ苦しい感じがして嫌だからさ、気軽にな?」
「はい、分かりました。それでは、私がラストエリクサーを創って欲しい理由を今話します」
そして、アセリアは事の経緯をフォルトに説明した。
その説明をフォルトは黙って耳を傾けていた。
「……ふ〜ん、成程ねぇ。原因不明の病気の妹の為にラストエリクサーをねぇ……いいぜ、気に入った。羽を分けてやろう。但し条件がある」
「条件、ですか?」
「ああ、まずはその旅にあたいを同行させてくれないか?」
「えっと、それなら構わないと思いますが……」
そして、アセリアはカノンちらっと視線を移した。
「ん?まぁ、フォルトが来てくれるなら心強いから構わんが、お前がいなくなったこの場所どうすんだ?」
「それなら、ノークに任せるさ。ノークはここの中でも上位の実力者だ。大抵は対処出来るだろ。それに本当に緊急の用事があれば、あたいなら飛んでいけるからな。でだ、ノークしばらくあたいがいない間の責任者頼まれてくれねーか?」
「……構イマセヌガ、イツオ戻リニナルノデ?」
「さぁな。でもまぁちょくちょく戻ってくるさ」
「……了解シタ」
「って、おいおい、ノークって言ったか?そんなに安易に決めていいのか?」
「構ワヌ。主ハヨクフラフラト放浪癖ガ有ルカラナ。何時モノ事ダ」
「はぁ、フォルトの放浪癖今も直ってなかったのか……」
カノンは溜め息を吐きながらじと目でフォルトを見た。
その、フォルトはカノンから視線を逸らし、冷や汗を掻いていた。
「と、とにかく!カノン達との同行は決定済みだ!」
(こいつ、話を煙に巻き上がったな)
「後、もう一つ羽を上げる条件がある!」
「何でしょうか?」
アセリアがフォルトに聞いて来た。
しかし、その条件とはその場にいる全員が唖然とした。