錬金術師カノンと五聖麗 48
怪物はカノンの言葉を理解したのかは分からないが、直後、4体の怪物がカノン目掛けて一斉に襲い掛かってきた。
しかし、既に怪物達が襲い掛かったった所にカノンはおらず、怪物達の後ろで黒く笑いながら其処に佇んでいた。
「ククク、そんな単調な攻撃じゃ俺はあたらんよ。力ばっかし強くなっても当たらなければどうという事はない」
そしてカノンは何時の間にか手にある拳サイズの石をお手玉のようにポンポンとトスしていた。
そしてカノンはその石を怪物達目掛けて投げ込んだ。
そして、その石は着地と同時に大爆発を起こした。
「ビーズをばくだ……ゲフンゲフン、失礼、これは石だった。取り敢えずこの程度死んでくれるなよ?」
砂埃が晴れると、所々傷は負っているものの、まだまだ平気そうだった。
「よ〜し、そうでなくては俺が楽しめんしつまらん。さてもちっとギアを上げて行くぜよ」
そしてはカノンは怪物達に駆け出して行った。
「錬金術ってのは便利でな…ある程度の量なら空気も錬成できるって聞こえてねぇか…」
一体の背に周りこむとカノンは息を吹き掛ける。
ボォォンッ!!
アセリアの足下まで腕が吹き飛んできた。
「つ、強い…これが、カノン?」
「これでも実力の半分も出してませんですぅよ?」
「アセリア、シェリル…あと、三歩下がれ…」
カノンはそう言うと地面に手を着いた。
「……あばよ。まぁ、なかなか楽しかったぜ?」
異形の足下が大爆発した。
土煙が晴れると四体は倒れ、動かなくなっていた。
「カノンさ〜ん!」
「…エリザ……」
カノンは視界に走りよるエリザを捕らえた。
「どうしたんですかっ、これ!?大きな音がしたから見に来てみれば…」
「いや…これはちょっとな……」
詳しく話すわけにもいかず、言葉を濁すカノン。それは敵が沈黙し、あまりにも無防備であった。近寄ってきたアセリア、シェリル、エリザも警戒をといており、異形の肩がピクンと跳ねたのを誰も気付かなかった。
「もうっ!シェリルさんでしたっけ?まだ動いちゃダメですよ!体内の精霊力が弱まっているんですから…」
「大丈夫だって…俺の薬に間違いはない。」
「そうですぅ。ご主人様の薬のおかげでピンピンなのですぅ!」
「ガキは元気ね…」
「アセリアさん!今のは聞き捨てならないですぅ!ガキってなんですか!?私はもう齢三百歳ですぅよ!エルフでも成人ですぅ!」
「三百歳じゃあまだまだガキよ!経験が足りないわよ〜!」
『そうとも…三百歳ではまだまだだ…千年は生きんとな…』
「「「「え?」」」」
カノン達は辺りを見回したが、四体の異形しか存在しない。
『ここだ…』
異形がムクリと起き上がり、中から曇った声が響く。