錬金術師カノンと五聖麗 4
「そうでしたか。でしたら、学院に来る必要ないと思うんですが……」
「確かにな。錬金術は扱いが非常に難しく、使い手が少ないのは知っているだろ?」
「はい」
「貴重という事は、幾多の研究機関や、国家に誘いやちょっかいを受けたりしてな、うざったいから学院で姿を晦ましているのさ。木の葉を隠すなら森という事だ」
「でも、錬金術が使えると言ってもカオスゼクスを攻略するのは難しいんじゃないですか?」
「ふっ、俺の実力を甘く見ちゃいかんよ。自分でいうのもあれだが、俺は何者にも負けない錬金術師だと自負している」
「そうなんですか?」
「ああ、そうだな証拠に俺が錬金術で作った物を見せよう」
カノンは自分の荷物を漁ると、小型のナイフを取り出し、シィナにそれを渡す。
「あの、これは?普通のナイフみたいですけど……」
「それを床に突き刺してみ」
シィナはカノンに言われた通りナイフを床に突き刺すと突き刺したところから床が変形し、大きな木の壁が出来た。
「まぁこれは、刺したところから壁を作る代物だけどな。今は木の壁だが、刺す場所によって性質が違う。土のある場所に刺せば土や岩の壁を作り、水気があるところなら水の壁を作る事もできる」
ナイフの能力にシィナはかなり驚いた表情を見せている。
「す、すごいです」
まぁ、それも当然だろう。魔術では物に能力を付与させる事なんて出来ないのだから。
そして次の瞬間、カノンの言葉に更に驚いた表情になった。
「欲しいならこれあげるよ」
「え、ええ!!!?そんな貴重な物をですか?」
「ああ、つか設計とか覚えてるから何時でも作れるぞ。俺にとってはそんなに貴重なもんでもないし」
本来は武器に能力を付いてる事自体が珍しい事だが、カノンの腕を持ってすれば何時でも量産する事が出来る。カノンがどれ程凄い錬金術師なのかシィナは今になって気付かされた。
「分かりました。このナイフ大切に使わせて貰いますね」
「ああ、使ってくれ」
「何かお礼をしなければなりませんね…」
「いいって…言ったろ?俺に取っちゃ、ナイフをやっただけなんだからさ」
「それでもっ!」
尚も食い下がるシィナにカノンは少し考えた後、悪戯っぽく唇を歪め、言った。
「なら…一度、お相手して貰おうかな?」
「?…なんの相手です?」
「そりゃ、もちろんS〇Xのだよ。」
「っ!〜〜」
シィナは顔を真っ赤にし俯いた。それを面白そうに眺めるカノン。
「ククッ…」
「…わかり…ました。どうぞ、抱いて下さい。」