錬金術師カノンと五聖麗 30
「採ってきたなら言ってくれればいいのに……」
「言おうとする前にあいつらが来たんだよ」
「それで、あの3人を置いて行く理由は?」
「ああ、これからマンドラゴラ、鳳凰の羽、白竜の鱗を取りに行くんだがな、これがなカオスゼクスより厄介でな、あの3人も実力はあるが、これからいく場所は実力は勿論の事、必要以上の知力や知識が必要なんだ。学院レベルでの知識じゃ全く役に立たない。経験が物をいうレベルだ」
「そうなの?それに学院ってそういうのを教える所じゃないの?」
「そうなんだが、学院で習ってるのは6割ぐらい真実と離れている。間違った知識を生徒に教えてる様なもんだ。実際に目で見て体験しないと真実には辿り着かないだろうよ。それに、あの3人に何かあれば絶対に俺に責任を取らされるだろうな?教師陣には嫌われてるしな」
「そうなの…でも大丈夫よ!私が守ってあげるから!」
「おいおい、アセリア…君までシィナみたいな事を言うんだね…」
「ふふっ…」
カノンはアセリアの肩を抱く。
「ひゅ〜ひゅ〜…熱いね。こんな標高が高いのに…」
バッと振り返るカノンとアセリア。
「ス…スパイムさん?」
「冷たいじゃあねぇか。杯を合わせたら皆、親子兄弟ってな?学院長の口癖だ。」
「スパイムさん、泥酔していたんじゃ…」
「俺だけじゃあない…」
リアがヒョコッと顔を出す。
「カノン君ってば、何か企むとすぐ顔に出ちゃうんだよ。知ってた?」
「くっ…」
カノンが呻く。
「あ、大丈夫だよ。シィナは本当に爆睡してるから…」
「スパイムさん、リアさん。聞いていたんならおとなしく退いてください。」
「嫌だね。そんな面白そうな事…」
「良いわよ、退いても。私は死にたくないし。どこかの馬鹿と違って…」
「オォイッ!その馬鹿って俺か?俺の事ですかっ?」
「ただね、カノン君。」
「無視かよ…」
「うるさいわね!…で、カノン君。さっきの話しを立ち聞きさせてもらったんだけど…」
「止めても無駄ですよ…」
「止めないわ。違うのよ。さっき、マンドゴラって言ったでしょ。それ、学院にあるわよ?」
「「えぇっ!?」」
「あなた達、授業もろくに出ないから知らないでしょうけど、魔導植物の授業で見せてくれたわ。」
「じゃあ、学院に行けば…」
「分けてもらえるかもしれないわね…」
「……」
考え込むカノン。
「…分りました。一旦、学院に戻ります。」
「そうしてくれると嬉しいわ。だって、シィナが泣いちゃうもの…」