錬金術師カノンと五聖麗 29
「私はリア、シィナの姉よ…よろしくカノン君。」
リアはカノンに手を差し出し、握手を求めた。その手を握るカノン。
「はぁ…よろしく。」
「おいっ!俺は無視ですか!?つーか、俺ってなんかダメージ受けすぎじゃない?」
「もうっ!うるさい人ね。」
「えっと…何でシィナとリアさん、スパイムさん?がカオスゼクスに?」
「シィナに頼まれてね。あなたの事、すっごく心配していたわよ?」
「そうですか。リアさん達が来た理由はわかりました。で、スパイムさんは何で?」
「暇だったから…」
「暇って授業は?」
「いいの、いいの。授業なんて受けなくても死ぬわけじゃないだろ?」
カノンはスパイムの言葉に感じ入り、ガシッと堅く握手した。
「あらあら、サボり魔同盟ができたわね。にしてもシィナ…」
リアはアセリアと睨み合っているシィナに呼び掛ける。
「…何、リアちゃん?」
ムスッとしたシィナが頬を膨らませ、応える。
「あなたもいい加減にしなさいよ?せっかくカノン君に会えたのに…」
「だってこの女が〜!」
「何がこの女よ!このアバズレ!」
「何よっ!泥棒猫!」
2ラウンド目を始めた。
「はぁ〜、もう知らないっ。」
リアは呆れ顔で言った。
「カノン…」
「はい、スパイムさん?」
「そんなに急ぐわけじゃないだろ?」
「ええ。」
「だったらこの家を直してくれないか?俺達はあんま休まずに登ってきたからな。疲れてんだよ。ここで、もう一泊しようぜ?」
「はぁ、構いませんけど…」
「おしっ!決まりだ!」
カノンは錬金術で家を再築する。
そして夜になり…
「赤点がどうしたぁ〜!そんなの関係ねぇ!」
「そうですよぉ!ヒィック…シュバルツめぇ!…俺を馬鹿にしやがってぇ!」
酔っていた。スパイムが持ってきた蒸留酒を水で割りカノンとスパイム、リアで酒宴を開いていた。アセリアとシィナは怒鳴り疲れ、別室で寝ている。
「シュ、シュバルツ先生ぇ〜、なんでですか?なんで私に振り向いてくれなぃんですかぁ?うぇぇん…」
泣き上戸なリア。
「たっはっはっ!知ってたか、カノン?歴史科のヘルマン!あいつってカツラなんだぜぇ!ひぃっひひひっ!」
混沌化する部屋を気分転換を兼ねて外に出た。
「はぁ、二日も此処で足止め喰らったな」
溜め息を吐いているとアセリアが姿を現した。
「ん?アセリアか?寝たんじゃなかったのか?」
「そうなんだけど目が覚めちゃった……」
「そうか……アセリア、明日の事なんだが、早く出るぞ、あの3人が起きる前にな」
「え?どうして?」
「実はアセリアが寝ている間に既に真実の花の根を採ってきた」
カノンは採ってきた真実の花の根をアセリアに見せた。