錬金術師カノンと五聖麗 25
「カ、カノン〜…」
「アセリア…」
深く口付けを交わすと、カノンは自身を引き抜いた。
「うぅ……」
「アセリア……二回戦をベットでやろうか?」
「うんっ…カノン…」
カノンはアセリアを抱上げると寝室へと向かった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「ちょ…ちょっと待ってよ、スパイム……」
「んだよ…お前らの荷物、持ってやってんのに…普段から肉体を鍛えないからな、貴族は。よしっ、じゃあ休憩にするか?朝飯がてら…」
スパイムは荷物を地面に下ろすと、薪に火をつける。
「はぁ…疲れたぁ…」
「強行軍ね…ふぅ…」
リアは汗を拭うと、水袋を取り出し喉を潤す。
「たくっ…体力がなきゃ、どうにもならないだろうが…」
「私はあなたと違って頭脳派なのよ…」
リアが口を尖らせ、文句を言う。
「私もまさかカオスゼクス山に登るとは思わなかったから…」
スパイムは手早く、朝食を用意すると二人に配る。
「今、気付いたんだが…お前ら、まさか…料理できないのか?ずっと飯の用意、俺がしてるし…」
「当たり前でしょ!一流の貴族は食事は待ってれば出てくるモノなのよっ!」
「しかし、男ってのは女の料理を作る姿に萌えるぜ、もちろんシュバルツも…」
「えっ!?本当っ?」
「ああ、マジだ。帰ったら教えてやろうか?」
「っていうか、スパイム…」
「だから、なぜに呼び捨て?」
「いいじゃない…それよりなんであなたは料理ができるのよ?」
「お袋が俺がガキの頃に死んじまってな…それからは兄弟の飯を作ったりしてたしな…あと日雇いで酒場やパン屋で働いていたことがある…」
「へぇ〜、意外…」
シィナが驚嘆の溜め息を吐く。
「何が?」
「だってスパイムって私達の学年でも有名な怠け者よ。それがそんな苦労してたなんてねぇ〜」
「ぷぷっ…シィナ、それは言えてるわ。クラスの皆に今の聞かせたら全員、驚くわよ。」
「え?俺ってそんな印象だったの?」
「ええ、でも何で学院に来たの?」
「まぁ…いろいろとあったんだよ。いろいろとな…」
そう言いスパイムは一瞬、遠い目をした。
「さてと、休憩終わりっ!出発だぁっ、なっはっはっ!」
「スパイム!はぐらかさないでよっ!」
シィナ一行が何もない山肌を登っていくと、カオスゼクス山中には不釣り合いな小屋を発見した。それは小屋と言うより家と言った方が正確だろう。
「……ねぇ、リアちゃん、スパイム。私、この小屋がすごく気になるんだけど…」
「たしかに、どう考えてもおかしいわよね?ここ、カオスゼクス山よ?」
「おぉ〜!全員の意見が同じってことは突入だな?」
スパイムは剣を抜き、警戒しつつも小屋へと近付いていく。そして、その後を付いていくシィナとリア。