錬金術師カノンと五聖麗 21
「そう……そういう態度を取るのね。フフ、それは戦線布告と受け取ったわ。今に見てなさい!」
アセリアは、女性らしからぬスピード一分で着替え終え、カノンとアセリアの仁義なき闘い(一方的な)が始まった。
「コラ!待ちなさい」
「おい、剣を持ち出すなよ!死ぬだろ!流石にベリガルみたいにはなりたくない!」
「大丈夫よ!簡単には殺さないわ、ゆっくり時間をかけてね…フフフ」
アセリアの不気味な笑いがカノンに更に恐怖心を煽る。
「怖ぇ…ベリガルより恐ろしい奴だ」
しばらくの攻防の後、カノンはアセリアに捕獲された。
そして、今カノンはアセリアに言われ、正座させられていた。
「さて、カノン君、弁明を聞こう」
「アア、ホントウニモウシワケゴザイマセンデシタ。コレカラハキヲツケマス」
ボロボロのカノンは虚ろな目で、平身低頭して謝っていた。
「そう、言いたい事はそれだけ?」
「えっと、素晴らしプロポーションをお持ちでとてもお美しゅうございました。あ、でもじっくり見た分けではないので、大事な部分までは見えていませんでした。ハイ……」
「あ、当たり前でしょ!もうっ…」
何が当たり前なのか。カノンは心の中だけで首を傾げる。
「…で?」
「で?」
「だから…その……アレよっ!……欲情とかした?」
アセリアの声は後にいくにつれ小さくなり、最後の言葉はカノンにはボソボソとしか聞えなかった。
「?よく聞えなかったのだが…なんて言ったんだ?」
「〜〜!…よっ、欲情とかしたっ?」
ポカンとなるカノン。
「え〜とっ…アセリアさん?」
「いいから!答えなさいっ!」
アセリアは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「あ〜取り敢えず、欲情とまではいかないが、素晴らしく綺麗だったぞ。大きいのに拘らず垂れていない。そうお目にかかれないかな?」
カノンは正直にそう思った。
「そ、そう」
アセリアは顔を赤らめながら答える。
綺麗と言われて嫌がる女性はいないだろう。
「で、でも、裸を見た責任は取ってもらうから!」
「せ、責任?何する気だ?」
なぜだか、この時カノンは非常に嫌な予感がした。
「セイントエルフにはね変な掟があるのよ。セイントエルフは絶対数が少ないって聞くでしょう?」
「まぁ、それと何か関係あるのか?」
「ええ。個体数を増やすための処置なんだけどね、自分より強く、異性に裸を晒したら夫婦になれという変な掟があるのよ」
「は?何その時代錯誤は?というか、普通にアセリアの方が強くないか?」
「まぁ、接近戦は私の方が有利かもしれないけど、総合力では貴方の方が強いわ。まだ、カノンの実力を全て見たワケじゃないけど……」
「で、つまりどうするんだ?」