錬金術師カノンと五聖麗 20
その消し炭を見ながら、スパイムが怒鳴る。
「おいっ!リア!もうちょっと考えよっ?俺が避けなかったら今ごろ灰だよっ、俺!」
「良かったわね、躱せて…」
「ほんと優しくねぇな(ボソッ…シュバルツ以外)」
「スパイム、丸聞こえよ…」
シィナが言う。
「おいっ、妹!年上には敬語を使え!」
「だって、平民じゃない…」
「違う!元平民だ!今は王女様より騎士の称号を貰っている!」
スパイムはそう言うと、クルリと背中を見せる。そこには騎士の証しである王家の紋章が刻まれたマントがはためいていた。
「どうだ、ん?王女様との絆だぞ?」
自慢げに見せるスパイム。
「あっそ!」
シィナはマントに手をかざし、火球の呪文を詠唱し始める。
「うおぉぉっ!やめろって!王女様との愛の絆がぁ!」
「…冗談よ。それにしても、スパイム。愛の絆って?」
「あれ?俺、そんな事言ったかなぁ〜?」
「あんた、とぼけ方はゴブリン並ね…素直に吐いちゃいなさいよ。同じクラスの仲間じゃない?」
「ヤダ…イワナイ!」
「……ハァ〜…マント、燃すわよ?」
ビクンッとスパイムの肩が跳ね上がる。
「……ちっ、分ったよ…サド姉妹め…まぁ、あれだ…たまに城下で会ったりはしている。」
「へぇ〜、どこまでヤッたの?」
「ヤッたとかいうなぁ!」
「で?どこまで?」
やはりシィナやリアも年頃の娘、この質の話題には食い付きいい。
こうしてそれぞれの夜が更けていく…
窓から朝の木漏れ日が差し込む。
日差しに気付き、カノンは起き上がった。
「ふぁあああ〜〜もう朝か…さて、とっとと着替えて朝飯の調達に行くか……」
カノンは素早く服を着替えると、アセリアも食料調達に行くか聞きに行くため、アセリアの部屋に起こしに向かった。
アセリアの部屋の前に着くと、ノックをしてアセリアの返事を待たずに入ってしまった。如何せんそれがいけなかった。そもそも返事を待たずして中に入るのはノックの意味がない。
中に入ると着替え中のアセリアが驚いた様子で、カノンを見て固まってっていた。
しかも、今のアセリアの格好は上半身何も身に付けていない。パンツ一枚である。
そして、固まっていたアセリアは徐々に溶け出し、逆にメラメラと燃え盛ったオーラ見える。
「ああ〜…取り敢えず落ち着いてくれ。まじ、スマンかった。だが俺は後悔していない。という事でさらば!」
アセリアの表情が今にも爆発寸前だった為、反省してない謝り方で、すぐに退散した。
「ちょっと、待てコラ!待たないと地獄に流すわよ!」
しかし、待てと言われて待つバカはいない。