錬金術師カノンと五聖麗 19
他には、貴族の給料(横領含む)に宛がわれてたり、街を繁栄する為の資金を殆ど回さない。貴族は街を繁栄=領土を広げるという短絡的な考えしかない。
基盤を固て、領土を広げて行くならまだしも、非常識人は先へ先へと先走る。
これでは、中身のない街しか出来ない。まともに街の管理が出来ていないのに、これではすぐに街は廃れる。その分飢饉者が増えていくばかり……
王女を始め、一部嗜める貴族の常識人もいるのだが、如何せん非常識人が多すぎる為、管理が追い付かないのが現状。
直さなければ、この国に未来は望めないだろう。
「酷い言い様ね。でも、私には関係ないけどね」
「確かに違いない。さて、ちと早いかもしれんが、明日の為に早めに寝て英気を養おうか?」
「そうね、明日ベリガル以上の魔物にも遭わないと限らないしね」
「正論だ。さて、寝るか…そうそう部屋は好きなとこ使って構わんから。なんだったら俺と一緒に寝るか?」
意地の悪い笑みをカノンは浮かべる。
「遠慮するわ、バカ!じゃ、おやすみ」
「おう、また明日な」
そして、二人は別々の部屋で床に就き英気を養うのだった。
そしてその頃シィナ一向はと言うと…
「ねぇ、シィナこれは一体どうゆうことかしら?」
「さぁ〜?いくらカオスゼクスでも私もこんなのは想定してなかったわ」
「はっはっはっ!いいじゃねぇか!!強い相手の方が楽しめるってもんだ!」
「よくな〜い!!わ・た・しは無傷で帰りたいの!」
リアがごねるのも無理はない何せ目の前にはベリガルが舌舐めずりしているのだ。
グォォォォ
「!!」
「来るぞ!」
ベリガルは雄叫びを上げながら突進してきた。
「前線には俺が立つ!シィナ・リアは後方支援で頼む!!それなら文句無いだろ?」
ベリガルの突進を受け流しながらスパイムは指示を出す。
「うん、それじゃあ下がってるね。」
「あら、意外といい奴じゃない。それならオッケーよ!」
「オォラァッ!!」
背中の大剣を抜くと一閃、ベリガルの左腕を斬り落とす。
「ギュアァァ!」
ベリガルは右腕を振り回し、スパイムの首を狙う。
「うおぉ!あぶねぇ…」
「スパイム、しゃがんで!」
リアはベリガルに向かって火球を放つ、スパイムも共に…
「マジかよぉっ!?…」
スパイムは転がる様に避け、その上を火球が通り過ぎていく。
ゴウッ!
悲鳴をあげる暇もなくベリガルは燃え尽きる。