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錬金術師カノンと五聖麗
官能リレー小説 - ファンタジー系

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錬金術師カノンと五聖麗 11

「今日はここで休むかな?疲れたし…」
カノンは背負ってきた荷物を地面に下ろすと、一人用の簡易テントを建てはじめる。
なかなか慣れた手付きで建て終えると焚き火を起こすために薪に火をつけようとした。
「ん?…えっ…やっ……はっ!」
石を何度も打つが火付きが悪い。
「やっぱ、空気が薄いからか?…しょうがねぇ」
空気の錬金術の式を頭の中で完成させ、薪の周りの空気に行使する。
「よっ…と」
今度は火が付いた。薪が燃えだせば、酸素量を調節する必要もなくなる。

カノンは暖を取りつつ、夕食の準備を始める。


その様子を岩影から覗く女性がいた。
歳は二十歳ほどか、雪の様な白い肌にその肌に負ないくらい白い髪が特徴的なグラマラスな美女である。
「今のは…魔法?じゃないわよね…じゃあ…?」

なにかしら、と呟くと、美女の背後で大きな影が蠢く。それは熊に酷似した大型悪魔だった。熊に六本の腕がつき、その顎から炎が時折、噴出し、その瞳は爛々と食欲と暴力欲によって赤く染まっていた。

「きゃあああっ!」
「な、なんだ?!」

いきなりの悲鳴にカノンが思わず立ち上がり、手元のナイフを構えると同時に美女がカノンに抱きついた。

「た、助けてくださいぃっ」

「へ?」

カノンが眉をしかめると共に爆音にも匹敵する咆哮が迸る。カノンの視線が大型悪魔を捕らえて眉を潜めた。

「あれは・・・・」
「いいから早く倒してくださいよ」

美女は背中に回って泣き言を言う。

「ま、当然か。あんな化物を相手がいればな」

相手から叩きつけられる無意識の魔力に背中に冷汗が滴り落ちる。練金術で作り出したナイフが小枝に思えてくるぐらいの圧倒的な実力差だ。

「いくらカオスゼクス山って言ったってあれは反則だろ。魔人族が対神獣用に作り出した魔造戦闘悪魔ベリガルってのは・・・・」

呻き声を漏らす俺の背後でビクッと美女が身体を震わせたのはわかったが、今は無視する。
いや、正直に言えば、そちら側へと視線を向ける余裕がないというべきだな。

「グルオオオオオオオオオオオオッ!!」

ベリガルの咆哮と共に喉奥が禍々しい真紅の光を灯す。爆発的に膨れあがる光に、カノンはまず炎の中に次に地面に、更に空気にナイフを突き刺す。瞬時に形成される三つの防壁。

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