海で・・ 994
「一馬くんって、彼女いるんだよね?」
「ええ…」
きっと成美が恵さんにも教えているのだろう、僕は嘘をつくようなことはしない。
「彼女とはうまくやってる?」
「はい、おかげさまで」
「そう…」
「初めてって、みんなどんな感じだったのか、時々思うんだ…」
嗚呼ミキさん…
「僕の初体験は最高のものでした…」
恵さんには悪いけど、ここは本当のことを言うのが礼儀だよね…
「よかった…一馬くんにはそうであって欲しいとずっと思っていたの…」
恵さん…
僕は涙が出そうになるのを必死に堪えた…
恵さんは丁寧に僕の身体全体を泡で覆い尽くすと、シャワーを手に持って身体に優しくかけてくれる。
家で一人で浴びるよりも心地いい気分だ。
「一馬くんなら私、何とかなるかもしれない」
後ろからそう囁かれ、ドキッとする。
「頑張ります」
それだけしか言えなかったが、それで十分かもしれない。
脱衣所でも恵さんは丁寧に僕の身体を拭いてくれる。
こうなったら僕は、なされるままに身を任すしかない…
「脚やお肌はスベスベなのに…ある所にはちゃんと生えているだね…」
脇の下にタオルを宛てがいながら恵さんは言う…
「あっ;まあ一応…」
決して多い訳じゃないけど、脇毛と陰毛はそれなりにはね;…
恵さんはブラを着けず白のTシャツを着ただけ。
僕もシャツを着ただけで、お互いに下はパンツをはいただけ。
「2階の階段を上ってすぐ、そこが私の部屋」
「…はい」
恵さんが僕を案内するように前を歩く。
形も肉付きもいいお尻に見とれてしまう。
「ここだよ」
恵さんがドアを開ける。
その後に続くと、部屋に入ったところで恵さんを優しく抱き締めた。