海で・・ 99
―受験当日。
僕は当然?のようにF高に足を運ぶ。
その隣にはもちろん、真帆も一緒だ。
「今日のために勉強してきたから、絶対合格するよ」
「そうだといいね」
あの日以降も、僕は真帆やミキさんに指導を仰ぎながら受験勉強をしてきた。
その結果、成績も上がり、直前の判定では合格ラインに余裕で上回るまでになった。
「一緒に合格して、一緒に通おうね」
「ああ」
真帆は僕の隣でじゃれ付くように言う。
周りに人がたくさんいるので恥ずかしいけど、悪い気はしない。
「おーおー、熱いねお二人さん」
「私たちの出番はナシかなー?」
後ろから声がしたので振り向く。
木崎さんと野上さん。
真帆の親友であるこの二人も、F高が第一志望だ。
「もちろん、茜と初音もだよ!」
「おいおい、私らはついでかい」
「そ、そんなことないよ〜」
木崎さんが僕の左腕に手を絡め、野上さんが真帆の右腕に手を絡めた。
僕と真帆は目を見合わせながらも、しかたなしに空いている腕を絡めた。
周りの受験生たちの馬鹿にしたような、それでいてどこか羨ましそうな視線を浴びながら、
僕達4人は、同士のごとく徒党を組みながら、F高の門をくぐったんだ。
さて、肝心の試験は…
自分でも驚くほどよく出来たような気がした。
これも、ミキさんと真帆に教えを受けたおかげだろう。
スラスラ解くことが出来た試験用紙を見ながら、2人に心の中で感謝した。
最終科目の試験用紙が回収されると、僕は大きく伸びをした。
これで開放される!
自分で決めた志望校とは言え、どこか受験と言うものに拘束されている感は絶えず持っていたのだ。
そんな一馬の姿に感化されたのか、教室の皆も習って伸びを始めた。
誰もが皆、一馬と同じように窮屈な思いをしていたことは容易に想像できた。
「おい、パンツ見えてるぞ」
誰かの声で我に返ると、伸びをし過ぎた為に、シャツは覇だけ、臍の下にボクサーパンツの太いゴムが顏を覗かせていた。
「ぐげぇっ・・・」
僕は慌ててそれを隠したが、時は既に遅く、皆の笑い者になってしまった。
教室を出る。
行きのときと同じように、真帆・木崎さん・野上さんが横に並ぶ。
「かなり手応えあったみたいだね〜」
木崎さんが僕に向かって言う。
「うん、まあね」