海で・・ 957
それは社会人だから仕方ないよね…
まあ身体の関係でいうと、父さんはそんなに多くの人とは関わってはいないと…僕は思うけど…
「何だ二人とも、そんな所で立ち話して…」
スワェット姿の父さんが2階から下りてくる。
「あ、父さん…今日は早かったんだね…」
「おう、最近は仕事が忙しくて一馬になかなか話も出来んですまんなぁ」
「いいよ、父さんが元気ならそれが一番だよ」
「そうか?ありがとうな」
父さんはダイニングに一人腰掛け晩酌を始める。
最近はご無沙汰だったんだろう、物凄く嬉しそうな顔だ。
「さあご飯にするから、早く着替えてらっしゃい…」
「あ、うん。」
最近あかりさんは本当に母さんみたいだ…
まあ有り難いことだけどね…
2階に上がり制服を脱ぐ…
茜との後よく拭ってなかったんだろう…
プ〜ンと鼻に着く臭いは、間違いなくあの臭いだった;…
…臭いを消すのを怠ると取り返しがつかなくなる。
あの部屋もロクに事後処理してないから、次に入った人はどう思うだろう…
今更ながら臭いを消して何事もないように装おう。
僕はスエットに着替え1階に降りた。
「一馬くん、ちょうど良かった。もうすぐ出来るから」
いつも通り、キッチンにいい匂いが漂う。
同じニオイでも匂いと臭いではこんなにも違うもんなんだね;
本当は先にお風呂に入りたいところだけど、父さんとあかりさんを待たせていた訳だし、そうもいかないよな;
「なんだそんな所につっ立ってないで、早く座りなさい…」
父さんは既にビールを飲み、仄かに顔は赤くなっていた。