海で・・ 943
まあ涼はついこないだに童貞を卒業したばかりだもんな…
奥手になっちゃうのも無理も無いかな…?
「涼ってほんといい奴なんですよぉ…見た目はチャラいイケメンですけど、中身だってかなりの男前ですからね…」
まあ嘘は言ってないと思うけど…
「涼くんは部活でも女の子に弄られてるくらいだもの…みんなから可愛がられているよ」
…演劇部は涼以外は女の子ですもんねぇ。
…そこでふと思い出した。
「瑠璃子さん、隣町の高校の演劇部とは交流はあるんですか?」
「ええ…それがどうかしたの?」
「実は今朝、あの学校の演劇部の部長と遭遇して…」
茜のことは言わない方がいいかな?…
「あら瀬名くん、彼だったらよく知っているはよ…」
瀬名っていうのかアイツ…
「どんな奴なんです?…あの人…」
「一言で言えば、何をやらせても一流。それだけの才能の持ち主」
「はあ…」
「自分で脚本も書いて、演出もする。そして、役者としても」
…確かに、見た目からして頭のよさそうな雰囲気を醸し出していたし…納得できる。
「彼がどうかしたの?」
瑠璃子さんは疑うことなく僕を見て尋ねる。
「あ…いえ…」
話していいものかと口篭ってしまう…
「それってもしかして、茜ちゃんのこと…?」
なんだ瑠璃子さんも知っていたのかぁ…
「あ、はい…今朝二人が話しをしている所に、たまたま出くわしちゃって…」