海で・・ 915
平沢先生が言っていた、徹が元気になってきたって…多分これのお陰だな…
何やかんや言っても、彼女と上手くいっているかいないかでは、自分のモチベーションはかなり違うもんね…
「徹にはヨロシク言ってくれよ…僕はちょっとヤボ用があるからさ…」
「クス…一馬もカノジョさんとランチって訳ねぇ!」
「あっ;…いや、カノジョって訳じゃ無いんだけどさ;…」
…相手が先生だとはさすがに言えない。
「ごめんね、邪魔して。一馬も楽しんでね〜!」
「あ、ああ…」
いったい何を楽しむというのでしょうか。
唯と徹、屋上に行くんだからやはり…
唯と別れ、購買を離れると平沢先生がある部屋の前で待ってくれていた。
「ごめんなさい、待たせてしまって」
「全然、大丈夫だよ」
部屋のプレートには『生徒指導室』とあった。
「ここですか…」
なんだか怒られるみたいで緊張してしまう…
幸い僕にはまだ縁が無い部屋だからね;
「ここなら誰も入ってくることもないから大丈夫よぉ。」
大丈夫って;…一緒に弁当を食べるだけですから、誰か入って来ても別に構わないんとは思いますけど;…
「さ、どうぞ」
「失礼します…」
平沢先生がドアを開ける。僕から先に中に入った。
部屋の両側には本や資料の入った棚が並び、真ん中に机と椅子が置いてある。
広くはないが、意外と狭くも感じない。
平沢先生は一応なのかドアの鍵を閉め、可愛らしいお弁当箱を机に置いた。
「よかったら鈴木くんも摘んでね…残り物ばっかりで恥ずかしいんだけど…」
「そんなこと無いですよ…すごく美味しそうじゃないですかぁ〜」
それは決してお世辞では無かった。
色とりどりに弁当箱に入った食材は、見ているだけでも食欲をそそられた。
「ふふ、鈴木くんが優しいって本当なんだね…」