海で・・ 909
妹かぁ…
なんだか女の兄妹が出来ると思うと、こそ痒っゆいような不思議な感じだ…
まあそれも、藤堂先生では無く父さんの子供であればの話しなんだけど…
「その子の名前はもう決めてたりするんですか?…」
「それが、お父さんは男の子だとばかり思っていたみたいで…考えていたのは男の子の名前ばっかりなのよぉ…」
あららら。
母さんから昔聞いたことがあったが、僕が生まれた時も同じような感じだったらしい。
「女の子ってわかったらお父さん頭を悩ませちゃって」
「父さんらしいです」
「一馬くんも思い浮かんだら教えてね」
「あっ、はい…」
女の子の名前かぁ〜……美樹に真穂に彩…茜に唯に美月…
そう言われても知っている女の人の名前しか出てはこないもんだよな;
父さんが悩むのも分かる気がするな…
まさか自分が関係を持った女の人の名前をつける訳にもいかないだろうからな…
「まあそのときには、なるようになると思いますよ」
「そうだよね」
あかりさんはいつもの笑顔で言う。
すっかり大きくなったお腹を両手で優しく撫でている。
「一馬くんにはずいぶん歳の離れた妹になっちゃうね」
「まあ…気にはしませんよ」
お腹の子が藤堂先生の子だとしても、きっと父さんは自分の子供として育てていくんだろう…
そう父さんが覚悟を決めているなら、僕も例え血の繋がりは無くても、ちゃんと妹として認めてあげなくちゃいけないよな…
「いろいろ大変なことも増えるでしょうけど、これからもよろしくお願いします…」
あかりさんはお腹を撫でながら、僕に向かって頭を下げる…
「やだぁなぁ、止めて下さいよぉあかりさん;…、そんなこっちこそですよ;…」