海で・・ 906
ときにアグレッシブ過ぎる成美には、苦手意識を持つ人だっているかもしれない。
成美が不満そうな顔を見せるのは初めてのような気がした。
そんな話をしながら、駅に向かい新幹線の切符を購入する。
とりあえず今回の旅はこれで終わりとなる。
ちょっとお茶でもしていく?…って誘ってくれた三人を振り切り、僕は家に帰って来た。
やっぱり何やかんや言っても、夕べの三回ものセックスで身体は疲れを感じていたからね…
きっと今頃三人は、成美とあの大学生とのセックス談義で盛り上がるんだろうけど、まあその話しも後日誰かが話してくれるに決まっているしね…
「あらぁ随分と早くに帰って来たんだぁ〜」
あかりさんが、何時ものように玄関まで出て来てくれる。
「せっかくだからもっと楽しんでくればよかったのに〜」
「家にいるほうが落ち着くんですよ」
「ふふっ、ずいぶんとお楽しみだったのかなぁ?」
「それは…」
女の子と一緒だってあかりさんもわかってるから、そう聞かれるんだよなぁ。
…しかし、藤堂先生の話したことを思い出すと、あかりさんに聞きたいことも山ほどある。
一先ずキッチンのテーブルに着きお土産を渡す…
「へぇ〜一馬くんのチョイスにしてはセンスあるお菓子じゃない?…」
「ぁ;…いや;…それは藤堂先生の家の人が持たせてくれたんだよ…」
帰り際に由紀さんが皆に手渡しくれたお土産だった。
「あらぁ…それじゃあ、お礼状書かなくちゃいけないはね…」
「そこまでする必要あるかな?」
「わざわざ持たせてくれたものだもの…」
あかりさんは優しく微笑んでそう言う。
僕はそんなあかりさんを見て、ある話を切り出すことにした。
「藤堂先生のこと、知っているんだ」
「あんなに素敵な人はいないわ…」