海で・・ 903
それが証拠に二人の髪は濡れているもんな…
「私も先生が言うように…男の人のこんな所も好きになれるのかなぁ〜?…」
“こんな所…”って美月ちゃん…君の視線の先は、僕の股間を見てやいませんか;?…
「ふふ、私も美月ちゃんぐらいの時には、自分がこんな風に思えるようになるなんて、ぜんぜん思っていなかったのよ…」
ミキさんは高校時代までは男に縁や興味もなく、奥手だったと聞いた。
それがアヤさんと出会い、さまざまな経験をして…あの海で僕らと…
今となっては感慨深い。
「先生もピュアな頃があったんですね」
「美月ちゃん、私は今もずっとピュアだけど?」
「クス…ピュアな先生に聞きますけどぉ…学生時代、藤堂先生とお付き合いしてたんですよね?…」
おっと;…美月ちゃんはまだ藤堂先生のことを気にしていたのかよ;
「やだぁ;…学生時代なんてずっと昔のことみたいに感じるは…」
ミキさんは否定とも肯定ともつかぬ返事で、柔んわりと答えた…
「一馬くんも朝風呂してくるといいよ、朝ごはん食べたら出発するから」
「そうでしたね」
一泊二日なのに、ずいぶんと長いように感じちゃうね。
着替えをカバンから取り出し、バスルームに向かう。
「成美ちゃんは起きたかなぁ、連絡しとかなきゃ」
そうだ成美のことはすっかり忘れていたよ;…
まあ成美が他の男の所に行かなかったら、きっと成美ともヤル嵌めになっていただろう…
そんなことになっていたら、僕の身は持たなかっただろうから…ミキさんとの二回目もきっと無かったかも…だよ;
そう思うと成美には悪いけど、あの大学生に感謝しちゃうよね。
それ程に夕べのミキさんとの二回目は、僕達二人にとっては大切なものだった気がするんだな…