海で・・ 880
それは真穂とミキさんの関係を彷彿とさせられる…
きっとミキさんには持って生まれた、そんな優しさがあるからなんだろう…
「ありがとうございます…美貴先生も鈴木くんも…」
園田さんは涙で濡れた顔を上げ、照れたように微笑んだ…
なんか…
めちゃくちゃ可愛いんですけど;…
園田さんにも幸せになってほしいよね。
ミキさんとその頭を撫でながらそう感じた。
園田さんの気持ちが落ち着いた頃には外が暗くなり、街のネオンが灯り始めていた。
ミキさんがルームサービスで夕食を注文すると、程なくしてそれが運ばれてくる。
注文した以外にも運ばれてくる料理の品々…
「あの、これ頼んではいませんけど…」
「ご予約くいただきました際にご依頼頂きました。全て精力の着く料理でございます。」
蝶ネクタイの男は僕らに向かいニッコリと微笑んだ…
アヤさんか…
精力の着く料理だなんて、いかにもアヤさんらしい…;
彼の言葉を聞いて、ドリンクに口をつけたミキさんがクスッと笑う。
アヤさんのことだ、ミキさんと僕が2人で利用すると見込んでこんなメニューを設定したに違いない。
園田さんが加わったことでそれが変わってしまったことが少し申し訳ない。
「すごいね、それ」
「うん…」
当の園田さん本人は何も知らずに僕を見る。
「精力の着く料理って、鈴木くんが食べるとどうゆうことなるの?」
はい…精力の着く料理はアヤさんと唯さんに連れていかれたホテルで体験済みなんだよね;
あの時はいい気になって食べて、数時間後には大変なことになっちゃったからね;
「あ;…今の僕には必要ないよ…」
ただでさえ溜っているんだから、こんなもん食べたらどうなるか自分でも分からないよ;