海で・・ 875
あえてなのか、成美は答えをはぐらかした。
園田さんは何か言いたそうな目で僕を見つめる。
…美少女にそんな顔されても、ココで言うわけにはいかないです。
「ふふ、あまり一馬くんを責めちゃダメよ」
ミキさんは余裕の笑みを浮かべ、食後のお茶を啜っている。
しかし、ココで黙っていなかったのは
「一馬の彼女さんって、美貴センセでしょ?」
やっぱり知っていたんですね;…
話しをはぐらかす訳だよ;
「さあぁ〜どうかしら…?」
ミキさんも成美に負けてはいなかった…
「おいおい…ここで鈴木の取り合いかぁ?…」
笑いながら場を和ましてくれたのは藤堂先生だった。
そんな話をしながら時間は過ぎて行って。
「今日は本当にありがとうございました」
「いえ、わざわざお越しいただきありがとうございました」
由紀さんは僕らの方を見ながらミキさんに尋ねる。
「こちらで一泊されるんですよね」
「ええ、ホテルの予約もしていますので」
「まあまあ、それでしたらこちらに泊まってくださいよ…」
「ありがとうございます。次来た時は是非そうさせて頂きますね。」
ミキさんはそう言って柔んわりと断る…流石だね。
帰る時は正門に案内された。
門の前で立っていたあの厳つい男は、見送りに来てくれた藤堂先生の姿を見て、慌てて頭を垂れた。
到着した時にあれだけ吠えまくっていた数頭の大型犬も帰る頃には大人しくなっていた。
「いつか戻ってくるのを待ってますから」
「ああ…わかってる」
藤堂先生は薄く笑って返してくれた。
僕らはその顔を見て、お屋敷を後にした。