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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 871

「すまない…」
藤堂先生は小さくそう言って、俯いた。
周りの僕らはそれ以上フォローも何も出来ず、沈黙し、重い雰囲気が部屋に漂う。

「お話は、すべて持ち帰って、学校に報告します」
ミキさんは淡々と告げた。
こういうとことが大人との差だと痛感する。

「…残念です」
ミキさんはそう呟き、目尻を軽く拭った。

「せっかく来てくれたのに、期待を裏切ってしまい…申し訳ない…」
「いえ…直接話しが伺えてよかったです…」

僕もそう思った…
結果は最悪なものになってしまったけど、ここまで誠実に全てを打ち明けてくれた藤堂先生には感謝してしまう…

「こんな話しを聞いてしまった後ですけど、やっぱり僕は…藤堂先生は学校に戻るべきだと思います…」

「鈴木…本当に、ありがとうな…」
藤堂先生は俯きながら言った。その声は震えていた。

園田さんは顔を上げることすら出来ず、顔を覆って泣き崩れていた。
成美は厳しい表情のまま、藤堂先生を睨んでいる。
そしてミキさんは、少し目を赤くしながらも毅然とした表情だった。

「ありがとうございました…私たちからはもう何も言うことはないと思います」

「でも…」
ミキさんがそう言うと、今まで黙っていた成美が反論するかの如く声を上げた…

「成美ちゃん、どこかしたの?」 

「私…藤堂先生に戻ってきて欲しい訳じゃないけど、これだけは言わせて…」
「もちろんよ…言いたいことがあれば何でも言って…」

「今すぐじゃなくてもいい…もう一度瑠璃に…それに、一馬のお母さんになる人に…会って、面と向かって直接謝ってほしい。それだけは、絶対…」
「もちろん、そうするつもりさ…僕の中で気持ちの整理がついたらいつでも…」
「本当に…」
「ああ…絶対に、約束する」

成美は藤堂先生の言葉を確認するように頷くと、ため息をついてソファーに身体を倒す。

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