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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 855

それはまるで他人事のように思っていた。
まさか自分の近しいところでそれが起こるなんて思わなかった。

「中原先生…」
「君の問題は潤さんに相談してみる…だけど、君が思い切って動かないと何も解決はしない。わかってるよね?」
「はい…」
徹は小さく呟くように返事した。

ミキさんが名前を挙げた潤さん…平沢潤先生。
女子バレー部の顧問でもある方で、非常にかわいらしい印象の女の人。僕らのクラスでも授業を受け持っている。
ちなみに、人妻で、お子さんもいるそうだが…

皆から寄せられるプレッシャーだけじゃなく、同じ部員たちからも嫉妬されて、思った以上に特待生って大変なんだな…
これじゃ一時の救いを求めて、徹が成美と寝ちゃったのも分かる気がするよ…

これからのことは、平沢先生が何とかしてくれることを信じるしかない…

「僕は何も出来ないけど…徹がよかったら、また何でも話してくれよ…」

「おう…」
力はないが、徹は確かに頷き短く言った。
勝手ながらライバルと思っていた存在が、今は一人友人が増えたような気がしていた。

それから言葉を交わすことは少なくなった。
徹と2人でシンクロ部の練習を眺めて、時間を過ごしていた。

「それじゃあ俺、練習行くよ…」
横で立ち上がる徹を僕は見上げてしまう。
座高の高さは一緒だったのに、身長は僕よりも遥かに高い;…

「大丈夫なのか?…また虐められるんじゃ?…」
「中原先生にも言われたからな…、どんなに恥ずかしい思いをさせられても…逃げてばっかりじゃ何の解決にもならないからさ…」
“恥ずかしい思い”って?…
徹はバレー部の奴らに、いったいどんな虐めを受けているっていうんだ?…

…あまり想像したくないことかもしれない。
体育会系の上下関係は絶対で、シゴキだってあるのだろうが…徹の顔は僕から見ていても辛そうに見えた。

「大丈夫なのか…本当に」
「ああ…力を貸してもらうだけじゃいけないから…」
徹はプールから立ち去っていく。

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