海で・・ 848
「ミキさん…誰かに見られたらマズイよ;」
いくらそういったところに寛容な学校でも、生徒と教師の間でのこういうことまでは許されてはいなかった。
だから他の先生が生徒と関係を持つ時は、極力人目を忍んでやるんだよね。
「平気よ…このぐらいハグみたいなもんじゃない…」
ハグで僕の尻…握らないんじゃないかな?…
「もうみんなトレーニングに勤しんでる頃…」
「ああっ、ああぁ〜ん!!」
…成美さん。
まだまだその最中だったんですね。
「成美ちゃんって、かなり激しい子なのね」
「みたいですね…」
僕は知ってるけど、ミキさんの前で明言するのは不味い…
「…私たちも行きましょうか」
「うぇ?!…“行きましょう”…何処にですぅ;…」
ミキさんまでもが、成美に感化されちゃったんですかね?;…
「やだぁ…ヘンなこと考えてるでしょう…?」
ヘンなことって…それゃあこの成り行きですから…
「べ、別にヘンなコトって訳でもないですけど;…」
ミキさんは僕の顔を覗き込みながらクスッと笑った。
自分じゃ隠しているけど動揺してるのは明らかだろう。
「そうじゃなくてね、私たちはプールに上がって練習を見ましょう、ってこと」
「で、ですよね…」
ミキさんはプールへと向かう階段を上がる。
「その後なら、考えてあげてもいいかな」
「えっ」
「クスッ…ほんと一馬くんって顔に出やすいよね〜」
先に行くミキさんは振り返りながら微笑む。
「だ、だってミキさんがヘンなこと言うからぁ…」
「あらっ?…でもそう言うヘンなことは週末までとっておかないぃ〜?…」
「あっ;…そ、そうですよね;…」