海で・・ 838
「うん、僕もゴム…持っているようにするよ…」
男の最低限のマナーって言うもんね。
「ごめんね…女って面倒臭くて…」
「そんなの仕方ないよ…、だからさ、小野寺徹にもちゃんと持たせるようにした方がいいと思うよ…」
「それって…私が徹と寝るの…許してくれるってこと?…」
「僕だって唯のことをとやかく言う資格はないから。唯は好きなときに僕に会いに来ればいいよ」
「ありがと、やっぱり一馬は優しいよ…本気で好きになっちゃうよ」
「何泣いてるんだよ」
俯く唯の頭を撫でてやる。
…もう、あんな別れ方はナシだからな。
そんな風に、僕と唯は暫く抱き合ったまま互いの気持ちを分かち合った…
これはもしかしたら一度別れたからこそ、その良さを認識できたのかもしれないけどね…
「そろそろ戻らなくちゃだね…」
唯はフェンスの下に丸くなっていた僕のパンツを拾い上げ、投げてよこした…
「大丈夫か?…また小野寺徹に迫ってこられたりしない?…」
「大丈夫だよぉ、心配してくれてありがと!」
唯は服を素早く着なおすと小走りで屋上を後にした。
「なんだか…嵐のようなヤツだよな」
一人になった僕は思わずそんなことを言ってしまう。
でも、そんな唯が好きな自分も、どこかにいたりするんだよな。
何より一緒にいて楽しいのだから。
少しして、僕も教室に戻るのだった。
「あれっ?…一馬どこ行ってたんだよ?…」
隣の席の彰人が首を傾げた…
「あっ、便所…今朝ちょっと食い過ぎちゃってさぁあ。」
便所って言うのは嘘だけど、食い過ぎたって言うのは本当だからな…
まさか屋上でセックスしてた!!なんて、とても言えないしね;…