海で・・ 811
幸い、部屋中がそのにおいで充満しているわけではなかった。
それには安心しつつも、念には念を入れて脱臭剤をさっきまで座っていた場所などに吹き付けておく。
「これくらいでいいかな…」
一息ついて僕は制服のワイシャツを着る。
一応脇を上げ、そこにも吹き付けておく。
本当はシャワーを浴びたいところだけど、そんなことしている時間はもう無い。
唯さんとヤッた後に、ちゃんと浴びとかなくちゃいけなかったよな;
僕はパンツを捲り上げ、その中も念入りにスプレーした。
「…よし」
こんな感じでいいだろう。
服装を整えて、カバンの中を確認し、僕は学校に向かう。
3時間目から参加できればいいだろう。
余裕を持って学校に行くと、まだ2時間目の途中という感じ。
時間つぶしも兼ねて、久しぶりに保健室に行こうと思った。
下駄箱に行くと調度翔と出くわす。
「何だお前も今から?…」
「何言ってやがる…俺は朝からちゃんと来ていたさ…」
「ん?…今体育の時間じゃないのかよ?」
「ああ、マラソンだなんて聞いてなかったから、フケルに決まってんだろ…」
…結構同じこと考えてる奴がいるもんだな。
彰人や涼はどうしたかな?
「翔はこれからどうするつもりだ?」
「屋上でゆっくりしてるさ」
「そうか」
そう言って翔は下駄箱から離れ、背を向けた。
「あれ、一馬はどこ行くんだよ」
「保健室」
「おい…」
「別に体調が悪いわけじゃないさ」