海で・・ 802
こんな声を毎晩聞かされていたら、唯さんが欲求不満になるのも分かるよね;…
僕だってあかりさんと父さんのこんな声には、今でも悩まされるからな;
「私たちも負けちゃいられないはね…」
「あ、;…はい;…」
別に勝ち負けの問題じゃないとは思いつつも、目を輝かす唯さんに、とても反抗は出来そうもなかった;…
『ああっ、ああ〜…ああんっ!!!』
アヤさんは相変わらず大声を上げ、秀人を求め乱れているのだろう。
こんな声をあげるアヤさんは初めてだ…
「ねぇ…私たちも…」
「わかってます」
僕は唯さんの背中に手を回し、再び自身を突き動かし始める。
「うあぁぁ!…;」
先程唯さんを制しておきながら、それ以上に大きな声を上げてしまう;…
「クスッ…秀人くんに聞こえるぐらに…一馬くんも気持ちよくなりましょうねぇ!…」
いえべつに…秀人にこんな声は聞かれたくはありませんけど;…
…それに、さっきから聞こえるのはアヤさんの声ばかりで、秀人の声は聞こえないもんなぁ。
あいつは受身じゃなくて、オラオラ攻めるほうってことなのかな?
「…っ!」
「あぁああぁ〜!!!!一馬くん、すごくいいっ!!」
腰を思い切り前へせり出すと、唯さんが甲高い喘ぎ声を上げる。
僕の名前まで呼んで、まるで隣の部屋にアピールするように…
なんだか僕まで対抗しているみたいで、筈かしくなる;
そんな僕の心中を察したかのように、甲高いアヤさんの声に交じり野太い声が聞こえてくる…
…秀人
当然秀人のそんな声は聞いたことなんて無かったけど、これは間違いなくアイツの声だと思うとなんだか嬉しくなる。
そう思うと今までのこだわりが消え去り、自分も大きな声だ出せそうな気がしてきた…