海で・・ 788
寂しいなんてことは無いけど、ここで寝るのもなんだか申し訳ない…
「いいんですか?…それで唯さんは?…」
「心配しないでも大丈夫ぅ、ベッドはキングサイズですもの。」
あっ;。やっぱ一緒に寝るってことですよね;…
唯さんに連れられ、僕はその部屋に招かれた。
部屋には唯さんの言うとおりキングサイズのベッドが鎮座している。
「これなら2人で寝れるから大丈夫よね♪」
「は、はあ…」
心なしか唯さん、楽しそうに見える。
…しかし、このサイズのベッド、もしかしたら
「唯さんも、寂しいですよね?」
「相変わらず一馬くんは感が鋭いよね…」
微笑む唯さんはやっぱりどこか寂しそうだ…
「感が鋭いってことでもないんですけど、こんな広いベッドで1人で寝るなんて…」
大柄の男だってここで寝たら余裕そうだもんね…
「誰が見たってそう思うよね…でも家族の手前、男の子を連れ込む訳にもいかないじゃない…」
唯さんの旦那さんは海外に単身赴任、まだ後どれくらいかかるのだろう。
結婚して甘い夫婦生活も夢見ていただろう唯さん、その心中は…
「秀人くんと彩のラブラブぶりを見てるだけで、心が…ね。秀人くんは私にも気を使ってくれたけど…」
あの2人は誰もが認めるラブラブ夫婦だ。でも唯さんはその反面で苦しい思いもしてるわけだ…
「ごめん、一馬くんに話すようなことじゃないよね…」
「いえ…唯さん、僕は…」
「本当に気にしないでくれていいよ…これでも私、去年まで一馬くんの先生だったんだもんね…」
唯さんはため息と共にベッドの縁に腰を下ろす。
「そんなこと関係ないですよ…僕ももう卒業したんだし、辛い事があったら何でも言ってください…」
僕も唯さんの横に座らせてもらう…
「ありがとう一馬くん…ちょっと見ない間にすっかり逞しくなっちゃって…」
唯さんは微笑みながら、僕の膝の上に手の平を置いてきた…