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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 706

…最後の最後まで、唯という子がどんな性格なのか、まったくつかめなかった。
本当にこのままでいいのか?
僕は自分に問いかけるが、それ以上の答えは出なかった。

脱ぎ散らかした制服を着て、なんとも申し訳ない思いで僕は一人でカラオケボックスを後にしたのだった。


翌日…
学校にやってきた僕に、成美が声をかけてきた。
唯が遠藤先輩に対して、企画を辞退する話をした、ということだった。

なんともやるせない気持ちで、唯が教えてくれた屋上への階段を駆け登った。
もしかしたら、唯がいるかもしれないと思ったからだ…

「何だよ一馬ぁ息切らして…」
昼寝していた翔が、呆れた声を上げ起き上がった…

その顔を見て力が抜けた…
自然と瞳が潤んできてしまう…

「翔…僕…女にフラれちゃったよ…」

「な、なんだと!?お前、信藤さん…」
「違うよ…真帆じゃないんだけどさ…」

翔はクスッと笑いながら、僕の肩を軽く叩いた。
「一馬って見た目に似合わず繊細なんだな」
「こんなの初めてだったからさ…」
「俺は何度もあったさ…」
「翔はいいよな、余裕でいられて」

「俺だってそのときはつらいさ、いつ経験してもメチャクチャ凹むよ…」

「だよな…」
僕が鼻を啜ると、翔が頭を撫でてくれた…
その優しさに涙腺は完全に緩んでしまう…
気が付くと、ポロポロと大粒の涙が頬を通過していた。

翔は何も言わずに僕の頭を引き寄せ、その胸を貸してくれた…

男同志、男の目の前で泣くなんて、プライドが許さないだろう。
でも、今の僕にはそれが無理だった。
それでも良かった。翔は、僕の辛さをわかってくれるヤツだから…

「一馬、この次は、絶対いいことがあるからな」
「うん…」

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