海で・・ 699
なんだよこの倦怠感は;こっちまでダルくなっちゃうだろ;…
「どうしたんだ唯?いつもの元気は…」
そう言って唯のオデコに手を宛てがう。
「もぉ〜一馬ぁはぁ〜、熱なんて無いよぉ。女の私から誘いに来てんのに、もう一馬はぁニブイんだからぁ。」
僕の右手を両手で包み込むよに握る唯…
なんか嫌な予感がするんですけどね;…
初めて出会った時から数ヶ月、唯の印象は会う度に変わっていくような気がする。
見た目は明るく活発な女の子に見えるけど、僕の前で見せるこの表情はそれとはまた違う。
「じゃあ行こ〜」
「行くってどこへ?」
「んふふ、特に意味はないよ…一馬と一緒にいたいだけだから…」
そう言って唯は僕の腕に自分の腕を絡める。
肘に当たるのは確かに乳房だよな…
これって僕を誘ってるってことなんだろうか?…
「時間があるなら、カラオケでも寄ってく?…」
「ぅれし〜!あそこなら2人っきりになれるもんねぇ〜」
おいおい;…確かにカラオケボックスをラブホ代わりに使う奴は多いらしいけど、そういう意味で誘った訳じゃないんだけどね;…
喜ぶ唯の顔を見たら撤回はできず、ちょっと寄り道して商店街近くのカラオケボックスへ。
唯が会員証を持っていたのですんなり2人で入れた。
「一馬ぁ」
入っていきなり、猫なで声で抱きつく唯。
あなたってそんなキャラでしたっけ…それに、ここは2人きりだけど見られてる可能性はあるわけで…
磨りガラスの嵌め込んだドアからは死角があっても、監視カメラとか着いてるとヤバいもんね;…
「唯…そういうことはここではマズイよ;…」
僕のネクタイを抜き取る唯の手を抑える。
「クスッ…一馬って案外慎重なんだぁ〜」
笑う唯に逆手を取られ、両手首をネクタイで縛られたりなんかする;…