海で・・ 679
「やだぁ〜そんなこと聞かないでぇよぉ〜」
成美は膨れ面で僕に抱き着いてきた…
その時…
ガラッとシャワー室の扉が開き、僕と成美は一瞬固まってしまう;…
「なんで一馬がいんだよ?…」
その声に振り向くと、涼と植田先輩が立っていた;…
いきなり現れた2人に表情も身体も固まってしまう成美。
それは僕も当然のことで…
「り、涼こそ、何でココに…」
「…いや、それは…」
言葉の歯切れが悪い。何か隠してるのか?
植田先輩は涼の後ろに隠れるように僕たちを覗き込んでいる。
まるでどちらが年上なのかわからない。
涼はポケットに手を突っ込み、なんだかモゾモゾと顔を赤らめている…
なんだ、此処に来た目的は僕たちと一緒って訳だな;…
誰もいないと思っていた男子水泳部専用のシャワールーム…涼たちだって、僕らがいてさぞかし驚いたよな。
「よかったら、入れば…」
「あ、ああ…」
遠慮するだろうとばかりに思っていたのに、涼と植田先輩はシャワールーム内に入っきた;…
一つの個室に、4人が入る。
シャワー室自体は少し広めだけど、やっぱり多い。
「成美…」
植田先輩は申し訳なさげに成美を見つめる。
「…瑠璃にも運命の男の子ができたのね」
少し照れ臭い表情をしながら、成美は植田先輩に言った。
そうだよな…植田先輩は藤堂先生と…
「うぇ?!な、何でお前脱いでんのぉ?」
僕の横で服を脱ぎ出す涼…、そりゃあその為にここにやって来たのは分かるけど;…
「だって一馬みてーに制服濡らしたくないだろぉ…お前、帰りどうすんだ?」
涼は床に落ちたビチョビチョになった僕の衣類を見ながら、呆れたように言う…