海で・・ 676
「それが勿体無いんだよ…ねぇメグ、一馬なんてどうよ」
…あの、成美さん?
「一馬くんは確かに優しくて、頼りになって、かっこいい男の子だと思うよ。でも、一馬くんにも彼女さんがいるから…私じゃ…」
松永先輩は困ったような顔をする。
「ちょっとちょっと…何言ってんですかぁ?…」
いくら傍若無人の成美だって、僕本人を目の前にしてそれは無いでしょう;…
「あ、ゴメンゴメン;…例えばの話しだよ、例えばのねぇ!」
そういう風には…全く聞こえませんでしたけど;…
でも、松永先輩は確かに、誰もが振り向くだろう美人だ。
成美の言うとおり、彼氏がいても驚かないと思う。
成美の一方的なまくし立てに困ってる顔も、それすらも可愛いと思えてしまう。
「メグも栞も、ここにはいないけど瑠璃や瑞穂も、みんなそれだけの子なんだよ。もしかして、私がおかしいのかなぁ…」
成美が悲しそうな顔を見せる。
…この人はこの人で、表情がコロコロ変わるのが魅力的ではあるけど。
「そうだよ。成美はちゃんと大賀くんという素敵なカレシがいるんだから、他の男の子を摘み食いなんてしないで、もっと大賀くんを大切にしなくちゃ…」
あっ;…摘み食いされてる男子って、僕のこと言ってるんですよね?;…
「それは分かっていたんだけどさぁ、一馬のお尻見たら…どうしてもヤリたくなっちゃったんだよね;…」
成美さん、貴女って人は、もう…
「もう、成美ったら…」
松永先輩は呆れているのか、仕方ないといった表情なのか、クスッと笑みをこぼす。
…部活が終わり、皆プールから引き上げた。
僕は、成美に手を引かれ、シャワー室まで導かれる。
…成美の欲求は、止められなかった。