海で・・ 665
「教師と生徒…やっぱりいけないことなんですかね?…」
ミキさんの顔が浮かぶ…
僕たちのしていることも、世間からしてみたら後ろ指をさされることなんだろうか…
「いけないことなんて無いと私は思っている…だけど瑠璃子ちゃんと藤堂先生は、度が過ぎたのね…」
「度が過ぎた…」
「ええ、2人の仲はかなり深い関係だったの。それがいつしか見境がなくなって、学校の中でもお互いを求めるようになった…それを、成美は、瑠璃子ちゃんが無理矢理迫られていると勘違いして、問題にしてしまったの…」
それも無理はない、と思った。
がっしりして筋肉質の藤堂先生と、一見中学生のようにも見えるくらい小柄な植田先輩では、そう見えても仕方ないこともある…
「弁明はしなかったんですか?…」
「それが藤堂先生は瑠璃子ちゃんに変な噂がたつといけないからって、表沙汰にはしないで去っていったの…」
だから皆は真実を知らずに、藤堂先生を悪く言う人まで出てきた訳か…
「それで植田先輩と藤堂先生は終わっちゃったんですか?…」
「そこまではわからないわ…瑠璃子ちゃんにも、成美にも聞く勇気がないの、ごめんなさい」
「いえ、相楽先輩は悪くないです」
…これに関しては、誰も悪くない、そう信じたい。
「先日の事件は、藤堂先生を慕っていた水泳部の人たちが、成美のことを恨んでやったってことなんですか?」
「あまりそう考えたくはないけど、成美は自分を曲げない、我の強い子だから…」
「僕はぐいぐい引っ張ってくれる成美のこと…嫌いじゃないですけどね…」
この前の芝居だって、成美が強引に誘ってくれたからこそ観に行けたんだもんね。
「成美は姐御肌だから見方も多い分、敵も作りやすいのよ…水泳部の男子たちもそれを分かってくれればいいんだけど…」