海で・・ 662
その一人の優ちゃんは、アヤさんの妹だって千葉は知らないんだろうな…
まあこれ以上蒸し返してもいいこと無いし…ここは黙っておくべきだよね…
教室に戻ると、もう誰もいなかった。
部活に皆行っちゃったんだな…
「千葉はさ…部活入らないのか?…」
「特に興味のあるものもなくてね…帰宅部がダメ、ってわけでもないなら…」
「そうか…」
「鈴木は何か決めてるのか?」
「いや…いくつか誘われてるとこはあるけど、どれもそんなに乗り気には…」
たまに顔出すくらいならいいけど、正式に籍を置くとそうもいかないもんね…
「そんじゃ入らなくてもいいんじゃないか?…無理して団体行動することも無いよ…」
「でもよ…皆で一つのことに熱中してる奴ら見ると、なんか羨ましいんだよね…」
「やりたくてもそこに入り込めない…か、そういうの分からなくも無いよ…」
千葉は子供にするみたいに、僕の頭をくしゃくしゃと掻き混ぜた。
そんな話をしているうちに教室に戻ってきた。
千葉は自分の机に向かいカバンを持って帰り支度だ。
「これから、どうするんだ?」
「何を?」
「部活とか諸々の話」
「ああ…とりあえず入るつもりはないかな。鈴木は?」
「僕は、しばらくは様子見。今までどおりさ」
シンクロも演劇も、見守る程度で。
「まあ鈴木は愛想がいいから、何処に入っても上手くやっていけるさ…」
「それって褒めては無いよな…」
「ははっ…良くもあり、悪くもあるってことだよ…」
「その言葉、そのまま千葉に返すよ…流されるままに女性を抱くのと一緒じゃね?…」
「それとこれとは違うだろぉー…俺はその人その人をちゃんと愛しているんだぜ…」