海で・・ 644
まあ、あかりさんが何も言わないってことは、それは何時もの僕の取り越し苦労なんだろ…
そう信じたい。
それに皆から、考え過ぎることはよくないって言われるもんね。
僕はどうも無いことまで考え、ありもしないことに悩ませれることが多いからな…
…そうやって割り切って考えると気分は楽になる。
シャワーを浴びてスッキリして、風呂場を出る。
「一馬くん、もうちょっと待っててね」
キッチンではあかりさんとみゆきさんが2人で夕食の準備中。
美味しそうな匂いが漂ってくる。
僕は頭をタオルで拭きながらソファーに腰を沈め、お預けをする犬みたいに出来上がるのを待っていた。
そうしている内に、段々と瞼が重くなってくる…
考えてみるとセックスって、スポーツをするみたいに、全身運動だったりするんだよね…
普段運動しない僕が、疲れるのも当然かもしれないよね…
出来上がりを待つ料理のいい匂いが、眠気を助長するかのように漂う。
…それに抵抗することなど、今の僕には無理で…
…………………
「一馬くん!」
「……ん?」
「あら、お疲れだったみたいね〜」
目を覚ますと、美人姉妹が僕を覗き込むように見つめていた。
随分と眠っていたのだろうか?…
髪はすっかりと乾き、身体の疲れはとれていた。
それでいて、“ブルッ”とした寒気に襲われ、僕は慌てて上半身を起こした。
うあ;…なんでパンツ一丁になっているんですかぁ;…