海で・・ 634
「一馬くんの部屋は2階なの?」
車から降りたみゆきさんは、僕の部屋を探すように天を仰いだ。
「あ、はい…1番奥の窓が僕の部屋で、その隣が父さんたちの寝室です。」
「あら?お姉ちゃんたちの寝室が隣の部屋なの?…」
「え…?あ、はい…」
「それじゃいろいろ大変な訳ね…?」
「え?…あ、まあ…;」
毎日ってわけじゃないんですけどね。
2人とも僕なんかより…節度ある大人なわけですから。
玄関のドアを開け、みゆきさんは僕の後ろをついてくる。
「あかりさん、ただいま」
「お姉ちゃん、来たよ〜」
…沈黙。
「どうしたのかなぁ?」
「具合でも悪いのかな?」
僕は心配になって部屋の中に入って行く。
「いたぁ?」
続いて入って来たみゆきさんが、僕の肩越しから顔を出す。
「うん。なんか気持ちよさそうに眠っているよ。」
ソファーに横になったあかりさんは、バスタオルを捲いただけの恰好で寝息を立てていた。
「もう、こうやって寝てるのって昔と全然変わらないじゃない…」
みゆきさんはちょっと呆れ気味に言った。
「そうなんですか?」
「うん…こっちが注意しないとずーっとタオル一枚とか、下着姿でいるんだよ」
…ああ、それじゃなかなか直らないわけだ。
「みゆきさんはそんなこと無いんですか?」
「私?…私とお姉ちゃんは見た目は似ていても、中身は正反対な訳よ。」
「そうなんですか?…」
僕からしてみたら、似たところは多々あるように思いますがね…
「だって私が初体験向かえたのって、中3の時よぉ〜」