海で・・ 627
言葉に重みを感じる。
僕が思っている以上に、皆さん、特に植田先輩は大人なんだと思った。
「そんな湿っぽい話はいらないよね。みんなよく頑張ったし、お菓子もあるから、お茶入れてくるね!」
植田先輩は笑ってそう言った。
そんな植田先輩の背中を涼が見詰めているのが分かった。
それこそ客席の女子たちみたいに、瞳を輝かせていた…
そういえば涼は、植田先輩に憧れていたんだよな。
まああんな発言を聞いちゃうと、その気持ちも分かるけどな…
程なくして、植田先輩がお茶を入れて持ってきたので、みんなでお菓子を囲んでちょっとしたティータイムを楽しんだ。
「一年生さんは、みんな同じクラスなんだってね」
「へぇ、すごいなぁ、美男美女揃いかあ、羨ましいなぁ〜」
小春さんと環さんが次々に言う。
…それって僕も含まれているんですか?
「そうそう、うちの部の子も1人いるんだ…トップクラスの美少女がね」
工藤さんのことだよね、成美さん?
「成美、いくら鈴木くんがタイプだからって連れ回してると大賀くんが黙ってないぞー」
「嫌だぁ〜私と一馬くんは、そんな関係じゃありませんからぁ〜!」
そんな関係って成美;…一度は関係…持ちましたよね?;…
「そんなことはどうでもいいのよ。それよりも大賀くんがどう思っているかが問題な訳よ…」
ふへぇ?…大賀先輩に目をつけられたら、僕なんて適う訳ありませんから;…
「脩はいちいちこんなこと気にするタイプじゃないから大丈夫だよ。私はどっちも大好きだし」
「うん…成美らしいね…」
僕の腕を掴む成美に、環さんはちょっと呆れて笑う。
「わ、私だって先輩には負けませんから…」
空いた反対側の腕を、真帆が掴む。